赤い旗(槇本楠朗)

188 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/01/20(日) 23:03:24
なんか歯切れが悪かったので、もう一つ。

『赤い旗』という昭和五年に出た槙本楠郎という人の本を紹介してみる。
今じゃ革命とかお笑いだけど、当時の人は本当になりふり構わずに
何かを信じていたんだなあと実感できて後味悪いっていうか後味怖い。

一応「童謡集」ってことになっていて、序文はこんな感じ。

プロレタリアの少年少女へ
 貧しい子供たちよ。
 おじさんはみんなが大へん可愛い。この本は君たちに読んでもらい、歌ってもらうために書いたのだ。
 金持の子供なんか読まなくたっていい。
 おじさんは君たちのお父さんやお母さんと同じように貧乏だ。
 そして君たちのような元気な可愛い子供を持っている。
 去年は六つになるスミレという女の子を一人亡くした。それはおじさんが貧乏なために、
 金持の子のように大切にしてやれなかったからだ。
 だがおじさんにはまだ二人の子供がある。
 もしこの二人が死んでしまっても、おじさんはまだまだ気を落としはしまい。
 それは元気な君たちが大勢いてくれるからだ。
 それほどおじさんたちは君たちを、自分の子のように思っている。
 (中略)
 それに童謡だって、まだほんとうに君たちに好かれないかも知れない。
 けれど君たちは金持の子や、金持の味方の詩人やまたそいつらと一しょに
 貧乏人を馬鹿にしている奴らのように、このおじさんの同様を一も二もなく、
 頭からバカにし、悪口なんか言わないだろう。
 (中略)
 ではみんなよ、早く大きくなって、君たちも勇敢なプロレタリアの闘士となって、
 君たちや君たちのお父さんお母さんを苦しめている奴らを叩きのめしてくれ!


189 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/01/20(日) 23:04:14
 んで、収録されてる「童謡」とやらはこんな感じ。

とるとるづくし

とるとるづくしではじめましょ
熊と金太郎・すもうとる
こぶとり爺さん・こぶをとる
猿はだまして柿をとる
にぎりめし・柿のため
蟹のかたきは、みなでとる
ええ、みなでとる!

とるとるづくしではじめましょ
地主はいばって年貢米(ねんぐ)とる
金持ァ遊んでて利子をとる
あっても無くても税はとる
ブルジョア・にぎり拳(こぶ)
今においらが、あれをとる
ええ、あれをとる!

なんか情操教育がどうとか、そういうレベルじゃなくて……。
序文から切実なのは伝わってくるんだけど。なんか作者の
「おじさんたちは君たちを、自分の子のように思っている。」
ってのも革命の尖兵として平等に見てるってようにしか取れない。
ブルジョアの子供はチョコの食べすぎで腹破裂とかって歌もあるし。
巻末の「付録」には「プロレタリア童謡の活用に関する覚書」
なる長文が児童の指導者、保護者むけに……。
「争議等の場合児童の合唱横行によって敵を悩ますもの。
(からかい唄、示威的の歌、など)」
とか……。まあ革命に至る険しい道のりとやらは理解してませんけど、薄ら寒い。


190 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/01/20(日) 23:12:04
>>188-189
革命信じてた人たちって今どうしてるんだろう……
以前出てた、「学生運動の目的」を今調べてみても
明確な答えは一つも出てこない、という話題と似たような、
(このスレ的に)いい感じに薄ら寒い気分になった

191 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/01/20(日) 23:15:33
>>188
序文は僻みが丸出しだし
>>189
童謡はvipノリに見えるw

どんなもんでも過度に入れ込むと痛々しく見えるんだな。


192 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/01/20(日) 23:16:04
>>188
子どもに自分の怨念で書いたような本読ますこと自体からして後味悪い。
どうせ子どもも尋常ならざる空気を感じて読まなかったんじゃないかと主他w

 

日本児童文学館〈25〉赤い旗―名著複刻 (1971年)
日本児童文学館〈25〉
赤い旗―名著複刻 (1971年)