野原の食卓(立原えりか)

246 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/02/20(水) 18:30:10
立原えりかという童話作家さんの作品たしか「野原の食卓」だっけな

サーカスでずっと飼われている熊がいる
小さな頃母親を殺され連れてこられてからは外の世界の鮮やかな緑も
自然の風も知らず狭い天幕と檻を行き来し、新しい芸を覚えれば角砂糖を貰え
失敗すれば鞭を何発かくらうという生活だった
熊の唯一の楽しみは、ある街に行くと彼を見に来てくれる幼い少女がいること
彼の芸に瞳を輝かせ、歓声を上げる姿を見る度に熊は一層芸に力を入れる
彼女の前でだけは、鞭をくらう自分の姿を見せてはいけないとなぜか感じて。

しかしある時天幕の裏で、熊は調教師らの話を聞いてしまう
新しい小熊が来たから、年老いてきた彼は用済みだと
次の公演が終わったら撃ち殺そうと。

少女の前で最後の公演を終えた熊は、夜半ひっそりと檻を逃げ出す
せめて余生を自然の中で終えるために。
ところが朝森の中で目覚めた熊の傍らには、あの少女がいた
花だったかクッキーだかうろ覚えだが、それを熊に持ってきたのだという。
熊は街に帰るよう少女を諭すが、少女は森の中で迷子になってしまい
帰り道が判らない。


247 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/02/20(水) 18:30:21
仕方なく熊は少女を庇いながら美しい森の中を歩く。
(←この辺の事情が少々うろ覚え)
返してやる機会を伺いつつ、一緒に集めてきた果実を食べ、水を飲む。
少女が不安がったときは、熊は「さみしい時は(辛いときだったかも)
ひたすら花の名前を思い出して唱えるんだよと教える。
短いが幸せな時間が流れるが、翌朝共に朝食を食べようとした瞬間
熊は銃声と共に倒れる。
「女の子は無事だぞ」上がる喚声のなか、
女の子は熊に「あたしはもっと一緒にいてもいいと思っていたのに」と囁く。
熊は「世の中というのはままならないものさ」と言いながら目を閉じる。
———
子供向けの童話なので絶対ハッピーエンドだと思っていたので
むしろ驚愕した。

250 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/02/20(水) 19:11:31
>>246-247
個人的には諦念が清清しくて後味良く感じてしまう。
子供のとき見たのならそりゃないよ・・・とか突っ込むのかもしれないけど。

255 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/02/20(水) 19:44:38
>>246-247
後味悪いというよりは切ない話だな

 

どこにもない動物園 (1980年) (立原えりかのファンタジーランド〈1〉)
どこにもない動物園 (1980年)
(立原えりかのファンタジーランド〈1〉)