なにもしない課(藤子不二雄A)

356 名前:なにもしない課1/2 投稿日:2008/04/18(金) 03:22:52
コンビーフ流れをぶったぎって投下。
藤子不二雄A作品「なにもしない課」

ある日、主人公のサラリーマン・天野に調査課への辞令が下る。
調査課は社内では姥捨て山や番外地などと呼ばれ、今でいう窓際族の吹き溜まりだった。
幹部が起こした仕事のミスの皺寄せが末端担当だった天野に来てしまったのが理由だという。
せっかく今まで営業として活躍してきたのに…と憤慨する天野だが、既に辞令は下っている為覆す事は出来なかった。

翌日、天野は調査課へと向かった。
課長の田所は挨拶を済ませるや否や「それじゃあ私は失礼して一眠りしますから」と居眠りを始めてしまった。
天野が慌てて田所を起こそうとすると、細井という男が
「課長は居眠りを邪魔されるのを嫌がるんですよ」と天野を止めて席へ案内した。
始業ベルが室内に鳴り響くと、細井は「さぁ仕事だ!仕事だ!」と新聞の記事でスクラップブックを作り始めた。
天野はそれを会社の資料作成だと思い手伝おうとするが、細井は
「これは私が勝手に暇潰しでやっているんです。何もしなくていいです」と手伝いを拒否した。
細井曰く、
「この調査課では会社の仕事は何もしなくていいし自分のやりたい事は何をやってもいいんです。
 責任ある事は何一つしないで給料を貰えるんですよ」と言う。
居眠りをする者、売れない小説を書く者、読書をする者、編み物をする者、
酒を煽る者、麻雀をする者…調査課の人間はそれぞれの方法で暇を潰していた。


357 名前:なにもしない課2/2 投稿日:2008/04/18(金) 03:48:11
天野は暇潰しの方法が見つけられず居ても立ってもいられなくなり、営業課を覗きに行こうとする。
だが細井から「勤務時間中はトイレ以外でこの部屋から出てはいけない規則があるんです。
第一…行ったところで誰も相手にしてくれませんよ」と言われ、渋々席に座り直す。

やがて終業ベルがなり、細井が天野に
「ここは残業が無くて定時で帰れますから奥さんが喜びますよ」と話し掛けると天野は細井の暢気さに激昂した。
「人間を終日部屋に閉じ込めて飼い殺しにするなんて事が許されていいと思ってるのか!?」
しかし細井は天野を無視してさっさと帰ってしまった。その後、課内で酒を煽っていた社員が天野を酒場へ誘った。
酒場に着くと、天野はその社員から細井が何故調査課に来たのかを聞いてみた。
「あの人、組合の執行委員長に担ぎ出されちゃったんですよ。なかなかの正義漢だし融通も利かないもんで
 真正面から会社とやりあったらしいんです。そのせいで調査課に10年間もいるんです」
「でも最近細井さんご機嫌なんですよ。この会社じゃあ何かめでたい事があったら、
 調査課から1人か2人マトモな課に転属できる特赦があって、それが細井さんに下るんじゃないかって…」

数日後、調査課に特赦が下る。だが特赦が与えられたのは課長の田所だった。細井は調査課課長に昇進してしまった。
その日の夜、天野が読んでいた夕刊に細井の写真が載っていた。「調査課課長・謎の自殺」という見出しと共に。

翌日出勤した天野は、引き出しから新聞の記事とハサミを取り出しスクラップブックを作り始めた。
「俺は死ぬもんか…一生この会社にへばりついてやる…!」


359 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/04/18(金) 04:37:35
>>356
今だとつくづくうらやましい話だが
終身雇用が当たり前だった時代には恐怖だったんだろうねぇ

 

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