ホーム » 小説 » 児童文学・絵本・昔話 » 最後の胡弓弾き(新美南吉)

683 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/04/29(火) 03:37:05
新美南吉の「最後の胡弓弾き」

旧正月になると、胡弓と鼓の二人組がそれぞれ街に下りて行っては門付け
(人の家の前で芸をしてお金を貰うこと)をするのが慣わしの村に住んでいる主人公。
主人公は12の時から、従兄と共に地元の街で演奏して回っていたが、
その街には二人を贔屓にしてくれる金持ちの隠居がいて、いつも多めにお金をくれた。

時は流れ、子供だった主人公も妻を迎え子供もできた。
そして時代と共に徐々に旅芸人の仕事は流行らなくなっていく。
いつも一緒だった従兄も今年からは行かない事になり、主人公は一人で街を回ったが
聞いてくれる家が減っていく中で、例の隠居だけは今まで通り彼をもてなしお金も弾んでくれた。
しかしその翌年の旧正月に父親が亡くなり、その翌年は自身が病気をして、門付けに行けない年が続く。

さらにその翌年、主人公は家族が止めるのも聞かずに無理を押して街へ降りていった。
久しぶりに訪れた街で、彼の胡弓を聴いてくれる家は一つもなくなっていた。
最後の楽しみにとっておいた隠居の家に行った彼は、門構えが妙に新しくなっているのに気付く。
そして隠居の息子は「父親は去年の夏に亡くなった」と彼に告げた。
悄然とした主人公だが、顔なじみの女中のはからいで、隠居の仏壇の前で胡弓を弾くことが出来た。
そしてついに彼の胡弓を聞いてくれる人は一人もいなくなってしまった。

帰り道、古道具屋の前を通りかかった主人公は、発作的に胡弓を30銭で手放してしまう。
そのまま家族に頼まれた物を買って帰ろうとするが、やはり後悔して古道具屋に引き返す。
古道具屋は60銭払えば売ってやると言い、仕方なく主人公は払おうとするが
持っていた金は、隠居の家で貰った30銭に胡弓を売った30銭。それを買い物で15銭使っていたので
主人公はもう胡弓を買い戻せるだけの金を持っていなかった。

只でさえ悲しい話なのにそこまで突き落とすのかよ、って最後の下りで思った。

 

新美南吉童話集 (ハルキ文庫)
新美南吉童話集 (ハルキ文庫)


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...