デカメロン/第5日第8話「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」(ジョヴァンニ・ボッカッチョ)

556 名前:1/3 投稿日:2008/06/15(日) 04:04:18
ボッカチオ著『デカメロン』の中の一話から。

ナスタージオというラヴェンナの若者が失恋の傷心で森の中をさまよっている。
片思いしていた女性に金やプレゼントで貢いだあげくにほとんど一文無しになってしまい、
いっとき自殺まで考えたが友人一同に諌められ気分転換に旅行を勧められた。
その途上で森の中に入って瞑想にふけることにしたのだ。

そしてやっと適当な場所を見つけて静かにこれまでの人生を振り返ろうとした
ナスタージオだったが、女のけたたましい叫び声を聞き我にかえる。
一体全体何なんだと叫び声の聞こえたほうを振り返ると、なんと茨に引っかかり
さらに獣に噛まれて傷だらけになった素っ裸の女性がこちらに駈けてくるではないか。
ナスタージオはとりあえず女性を助けようとするが、女性の後方を二頭の猟犬と
黒装束のいでたちの騎士が剣を片手に追いかけてくる。

ナスタージオはすっかり動転しながらも、女性を守ろうとその辺の木の枝を折って
騎士と犬に応戦しようとする。するとその様子を見て取った騎士は
『無駄な抵抗はよせ』とナスタージオを促した。


557 名前:2/3 投稿日:2008/06/15(日) 04:05:13
なぜ無防備な女性を追い掛け回すんだと問うナスタージオに、騎士は自分の身の上話を始めた。
それによれば、彼はナスタージオと同郷の貴族でとある貴婦人に恋して人生を狂わされ、
貢物をしまくった挙句に愛を得る事ができず一文無しになった上
しまいには絶望の中自殺してしまったというのである。
貴婦人は彼の自殺にも心を動かさなかったという。
だが彼女も騎士の自殺のあと程なくして病気を得て亡くなる。

彼は自殺の咎により地獄へ落ちる事になる。
そして心の頑なさと冷酷さから地獄に落ちた貴婦人ともども裁きを受けることに。
そのお裁きというのは、二頭の猟犬とともに騎士が貴婦人を追いかけていき
自身の自殺に使った剣で彼女を刺し殺してその内臓を引きずり出し、
猟犬に喰わせるというおぞましいものだった。

この罰は貴婦人が騎士に心無い振る舞いをした日数を年数に直した回数ぶん続く。
ナスタージオが来たこの森で、毎週金曜日に騎士は貴婦人に追いついて殺戮を繰り返すのだという。


558 名前:3/3 投稿日:2008/06/15(日) 04:06:28
そして身の上話を終えた騎士はナスタージオの目の前で貴婦人の胸を一突きに刺し殺し、
内臓を引きずり出して猟犬のえさにした。
あまりに凄惨な光景にビビるナスタージオ。
貴婦人はすぐに何事もなかったかのようにむくりと起き上がり、騎士の顔を見て恐怖におののき逃げ出した。
そして騎士は馬上の人となり、一鞭くれて貴婦人を追いかけていった。

ナスタージオはこの光景に身震いしたが、何事か思いなおしてラヴェンナの町に戻った。
そして最後の財産をはたいて片思い相手の女性とその家族一同を食事に誘う。
その食事会は金曜日に行われ、場所はもちろん例のあの森であった。

食事会に来た女性と家族一同は例の殺戮現場を目撃して驚嘆。
家族一同のなかには騎士のことをよく知っていた者もいて、その数奇な運命に涙を流す。
女性は騎士が哀れな貴婦人を殺戮するのを目にして
『いつか自分もあのような運命をたどるのではないか、
 ナスタージオが怒り狂って私を殺すのではないか』と恐れおののく。

そしてその日の夕方、ナスタージオのもとにあの女性から『結婚しましょう』という
手紙が届き二人は結婚することに。めでたしめでたし。

騎士と貴婦人は放置かよ!


561 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/06/15(日) 08:16:18
騎士と貴婦人がどうのって言うより、それって単なる脅しだよな。そっちが後味悪い。

562 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/06/15(日) 08:33:48
後日談

その噂を聞きつけたキモオタ連中が
片思いの女性を連れ、森に訪れるようになるのは
それほど時間が掛からなかったという・・・


563 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/06/15(日) 08:51:17
残念ながら
キモオタには誘われたところで廊下さえも一緒には出ません

 

デカメロン〈中〉 (ちくま文庫)
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