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643 名前:1/2 :2008/10/17(金) 14:55:49
筒井康隆の「魚」

若夫婦と小学生の息子3人が、田舎の川に遊びにくる。
川に人気は無く、白砂のきれいな中州があったので親子はそこに入り、
寝転がったり付近を泳いでくる魚をつかまえるのに熱中し始める。
やがて3人とも大きな魚を捕獲し、ホテルで料理してもらおうとはしゃぐ。

ふと気づくと、最初は大人の膝下もなかった水位が、随分と上がっていた。
泳いでくる魚も大きなものが目立つようになった。怖がる妻。
よしじゃ帰るかと流れに足を踏み入れると結構早くなっている。水位は大人の股下ほどになっていた。
息子は魚を頭上に掲げ「早く歩いた方がいいよ」とさっさと岸まで渡ってしまう。
数歩踏み出したところで妻がよろけて魚を落とし、
夫は「しょうがねえな俺に掴まってろ」と言うが両手は魚を抱えたままで妻を支えようとはしなかった。
岸で息子が「なにしてるの」と眺めている。


644 名前:2/2 :2008/10/17(金) 14:56:53
夫婦が中州と岸の中間まで来た時、妻が「痛っ」と叫び急に中州に駆け戻ってしまう。
夫は「なんだどうした」と妻を追い、中州で見ると妻の足に数センチの浅い切り傷が出来ている。
妻は魚が噛んだ、もう渡るのは嫌だといい、つい夫は「馬鹿だな」と言いかける。
息子は岸で靴を履きながら「早く来ないと」と落ち着いている。

魚影が増えてきた。
じゃ、おぶってくと夫は言うが、妻はそれも嫌だと言う。あんたが転んだらどうすんのと。
妻は岸の息子に、ホテルに戻って誰か人を呼んできてと頼む。しぶしぶと息子は川沿いの雑木林に消えた。

中州は既に二人乗りボート程度の大きさになってしまった。岸で脱いだ夫婦の靴は流された。
息子はちゃんと話が出来てるだろうか、話下手なのはあんたに似たのよ、と
夫婦はだんだん険悪になっていいき、そのうち妻は息子は私たちを憎んでいると言い出す。
私たちが馬鹿だからあの子は私たちが死んだ方がいいんだと思っているんだと。
夫は「あーもーわかったよ一緒に死んでやるよ俺だけあっちに行く訳にはいかないもんな
いいよな一緒に死ぬんだもんなああ」と子供じみたあてつけを言い出す。

そのときまた魚が妻の足を噛み、それで妻はもう嫌だやっぱり岸に連れてってと泣き出した。
よし、と夫は妻の腕を掴み川に踏み込む。もうおぶったりしていては二人とも倒れてしまう状態だった。
体のそこかしこを魚がこすっていく。魚に強く噛まれた妻は怒って夫の腕を離しそこかしこの水面を叩いた。
そのとき一層巨大な魚群がやってきて、妻の腰に激突し、妻は水中に消えた。
夫は妻を顧みる余裕も無くただそのままひたすら岸を目指していたが、やがて魚群に押し倒され、
溺死の苦しみのなか意識が途切れた。


645 名前:本当にあった怖い名無し :2008/10/17(金) 15:24:05
>>644
バカな夫婦だなー。
さっさと渡ればいいものを。

 

驚愕の曠野―自選ホラー傑作集〈2〉(新潮文庫)
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