砂の薔薇(新谷かおる)
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807 名前:本当にあった怖い名無し :2009/02/27(金) 17:54:29
- 新谷かおるの「砂の薔薇」。
海外出張に行く旦那を見送るため、小さい息子を連れて空港に来た主人公の若奥様。
「見送った後は寄り道をせず真っ直ぐ帰りなさい」と旦那は何故か念を押すが、
若奥様と息子は「空港を出なければ寄り道した事にはならないもんねー」と
空港の中で思いっきり遊びまくる。やがて旦那の飛行機が離陸する時間。
飛行機を見ようとロビーの窓に駆け出した息子の手を取った瞬間、大音響と共に空港が爆破される。
テロリスト「グリフォン」による大規模な爆破テロだった。
旦那の飛行機は炎上、息子は手だけを残して消し飛び、若奥様も瀕死の重傷を負う。
病院で意識を取り戻した若奥様は体中に繋がれたチューブを引きちぎって死のうとするが失敗。
一命を取り留めた若奥様は旦那と息子の敵を討つべく対テロ特殊部隊に入隊する。その後いろいろあって、ようやく「グリフォン」と対峙する若奥様。
しかし「グリフォン」の正体は死んだはずの旦那だった。
テロを起こしたのは、一家庭の旦那から再びテロリストに戻って活動を再開する為。
若奥様と息子に真っ直ぐ帰るように念を押したのは、巻き込まないようにする為だった。
家族まで巻き込んでしまったのは、旦那なりに心を痛めていた。
しかし今や立派な特殊部隊員に成長した若奥様は、憎むべきテロリストとして旦那を射殺する。
「あの人はいつも陽気で優しくてキスが上手で
私の焼いたローストチキンが好物でプディングが嫌いで
休みの日には息子と遊ぶのが大好きで大きな腕で私を抱きしめてくれた…
でもあの人は何年も前にテロで息子と一緒に死んでしまったのよ」(うろ覚え)
自分に言い聞かせるような独白の後、気遣う仲間たちに明るく任務完了を告げる。ずっと追ってきた旦那の敵が実は旦那自身でしたって何だそりゃ。
呆気ない結末もまた後味悪い。