ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その107 » イエロー・ダスト(手塚治虫)

563 名前:イエロー・ダスト 1/4 :2009/08/31(月) 18:23:26
ttp://comics.yahoo.co.jp/premium/ikkiyomi/
↑で読んだ「時計仕掛けのりんご by手塚治虫」の中の一編、
「イエロー・ダスト」が、自分的に後味悪かったので投下。

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舞台は1972年8月下旬の沖縄。米軍基地の子供たちが乗った学園児バスが、何者かによって襲われる。
犯人たちは、女教師と児童23人を人質に取り、旧沖縄作戦本部の海軍壕に立て篭もった。

犯人の一人(以下、A)は「ほんの戦争ごっこさ」と嘯きながら、
バスを襲う前に基地のトラックから奪ってきたという食料を、子供たちに与える。

「私はいいの 子どもをゆるしてやって」そう訴える教師に対し、
Aは「条件をのめばひとりずつガキを外へ出してやる」と持ちかける。
「1回で1人、23回で23人のガキが助かる」。
教師に抗う術は無かった。

その頃、米軍基地では司令官に犯人の情報が伝えられていた。
犯人とされるのは3人の日本人労務者で、3人ともきわめて米軍に協力的かつ友好的で、
反抗は一度も無かったと。しかし、ベトナムに2回、軍労務者として行っているという報告を聞いた途端、
司令官の顔色が変わった。


564 名前:イエロー・ダスト 2/4 :2009/08/31(月) 18:24:43
「1回に1人」。
行為を終えたAは、子供たちの中から1人を選び、外に連れ出し、「逃げろよ」と声をかけた。
「この先にパパが待っている」と言われた子供が走り出すと、Aは躊躇いも無く、子供を銃で撃ち抜いた。

銃声に驚く教師。だが別の犯人(以下、B)に誤魔化された。
行為を終えたBは「さ、2人目をにがす番だ」そういって子供を選んだ。

壕の外には、米軍が集結していた。司令官と、子供たちの親も駆けつけている。犯人たちに対し、
「要求に応じるので、すぐに条件を出すように」と呼びかける司令官。

だがその時、壕から銃声がした。先ほど選ばれた2人目の子供が撃たれたのだった。

司令官に、上空から様子を伺っているヘリコプターから
「子供が2人血まみれで倒れている。犠牲者のようです」と状況が報告される。
最悪の事態に、司令官は決死隊を突入させることを決めた。

その頃、Aは教師に対し、以下のようなことを語っていた。

突然のベトナムへ行けという命令にびくついた。軍労(全沖縄軍労働組合)には拒否しろと命令されたが、
結局15~6人でベトナムへと渡った。人殺し、破壊、強奪、火付け、暴行と、
外から見れば無法地帯なのに、中に巻き込まれると別になんとも思わなくなってしまった。
女子供も年寄りも殺せと、外にいる司令官のやつに教えられた。
この凶行もそれをおさらいしてるだけで、目的も何もない、やりたいからやってるんだよ、と。


565 名前:イエロー・ダスト 3/4 :2009/08/31(月) 18:25:21
教師は男と話している間に、周囲を探り、ナイフを手に取った。
隙を見てAに襲い掛かったが、抵抗もむなしく、あっさりと組み伏せられる。
しかしその間に、子供の1人がAから銃を奪った。
「返せ」と怒鳴るAに対し、子供は発砲する。

「ぼく西部のガンマンになるんだ!なっ、みんな!」Aを撃った子供は笑っていた。
背後に連なる子供たちもまた、それぞれに笑顔を浮かべていた。

同じ頃、司令官に「やつらが篭城できるのは軍糧食を盗み出したからです」との報告に併せ、
その明細が渡されていた。「十二号食が入っているではないか!!」と司令官は慄いた。

「十二号食…これをやつらが?」煩悶する司令官。しかし、そう狼狽えたのも束の間、
彼は決死隊に対し、突入に際しての作戦を伝え、それを決行するのであった。

決死隊がじりじりと壕に近寄る。隊長と思われる人物が、犯人の位置を確認するために、空き缶を投げ入れた。
音がした位置に浴びせられる銃弾。その撃たれた方向から犯人の位置を割り出し、決死隊はそこへ一斉射撃を行った。


566 名前:イエロー・ダスト 4/4 :2009/08/31(月) 18:27:25
静かになった壕に近づく。隊の面々は驚愕した。彼らの目の前に倒れているのは、
人質となっているはずの子供たちであった。あまりの出来事に呆然としていると、
壕の奥から教師が現れた。

「フフフフ……
 ――子供たちは戦争ごっこしたいっていったの……みんなであの日本人たちを殺して…
 銃を奪ったの…」

笑顔のまま子供に近寄り、その遺体を撫でる、気が触れたらしい教師を尻目に、隊は判断を下す。
「――司令官には、日本人が子供を殺害したと報告しろ」

「十二号食にはな、人間の脳を一時的に狂わせて闘争心を剥き出しにする、一種の麻薬を混入させてあるのだ。
 ――厭戦気分になった兵隊どもを戦場にかり出すには…この方法しかなかった……。これは…軍の機密だ。」
独りごちる司令官。

TVでは、事件を伝えるニュースが流れていた。
「――日本政府は、米軍子弟を誘拐した日本人労務者の犯行に大きなショックをうけています。
とりあえず外相がアメリカへとび、弔慰金を……」
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腹の中がもやもやする感じで後味悪い。
誤魔化されてる日本に対しても同じくもやもやする…(‘A`)

 

時計仕掛けのりんご (手塚治虫漫画全集 (261))
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