朱雀の紋章(和田慎二)
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333 名前:1/3 :2010/11/21(日) 03:52:15
- 和田慎二の漫画。うろ覚えだけど書いてみる。
近代日本、大学生の主人公は友人と共に恩師を訪ねるが、恩師は両手を切断されるという残酷な方法で殺害されていた。
帰り道で、不審な男達に襲われる初老の男と小間使いを助けるが、男は「余計なことをしおって。」と素っ気ない。
この男に興味を持った主人公は、友人のケガにかこつけて、男の屋敷に滞在することになった。湖沿いの立派な屋敷には、主人公と同じ歳くらいの子供達が5人いた。
奇妙なことに5人は能面のような奇妙な仮面を付けている。
夕食の時間、男が小間使いに明かりを落とさせると、5人は一斉に仮面を脱いだ。
5人は今まで別々に暮らしていて、今日が初顔合わせだった。
顔はにこやかだったが、お互いを探るような冷たい視線を主人公は見逃さなかった。仮面を外した5人だったが、昼間はサングラスのような眼鏡をしていた。
どうやら目が極端に光に弱いらしい。
その分、暗闇では機敏で、庭に出た蛇をナイフを投げて仕留めるなど、尋常ではない所が見えた。夜に庭に出た主人公は、湖の方から明かりが揺れるのを見た。
何かの合図のように感じた主人公は、友人と共に湖へと漕ぎ出した。
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335 名前:2/3 :2010/11/21(日) 04:35:27
- 湖で明かりを頼りに漕ぎ進めた主人公は小さな島にたどり着いた。
岩屋のようになった場所を覗くと、美しい女性がいた。
彼女の蔵書に恩師のサインを見つけた主人公は、そのことを問うと、彼女は身の上話を語り始めた。
幼い時にこの岩屋に連れてこられた彼女は、暗闇に独りきりで、訪ねてくる父との時間だけが楽しみだった。
父はナイフの使い方など色んなことを厳しく教えた。
幼いうちはどんどん吸収していったが、成長するにつれて、それについて行けなくなり、
父に外にも同じような兄弟がいることを知らされた。そう、彼女もあの屋敷の男の娘だったのだ。悲しみにくれる彼女は、偶然島にたどり着いた彼らの恩師に出会い、交流を持つようになり、学問など教わったという。
「第二の父のようでした。」彼女は悲しそうに言った。自分が未熟な為に、父に呼んでもらうことが出来ないという彼女に、また来ることを誓って主人公達は島を後にした。
それから数日後、屋敷への到着が遅れていると思われた長男が、死体で発見された。
色々な疑念が渦巻く中、兄弟達は次々に残忍な手口で殺されていく。
非常事態だからと、島からあの娘も呼び戻された。
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337 名前:3/3 :2010/11/21(日) 05:33:53
- 主人公と次女(岩屋の娘)は親交を深めていくが、
やがて友人も、惚れていた長女をかばいながら死んでしまう。(長女も死亡)四男と次女、当主の男を残すのみとなった中、調べたいことがあると東京に帰ることにした主人公は、
次女を頼むと四男に拳銃を託した。(四男は次女に惚れている)数日後、主人公は後悔を胸に屋敷へと急いでいた。
屋敷に帰ると、四男はすでに殺されていた。拳銃は一発も撃たれていなかった。
当主に向かい、主人公は真実を告げる。「犯人は次女、いや、彼女の中の『こだま』です。」
当主は優秀な暗殺者を育てる為、各地から有能な子供をさらってきていた。
次女は山あいの小さな村の村長の娘だった。村長は優秀な血筋を保つ為近親相姦を繰り返し、
そのせいで人格異常者を多く生み出し、彼らはそれを「こだま」と呼んだ。異常人格「こだま」は、身体能力が高く残忍な性質を持っている。
次女は父親の愛が自分だけのものではないのを知って悲しみ、恩師によって助けられた。
しかし、恩師の家を訪ねた時、父親が彼を暗殺しようと薬を飲ませるのを見てしまった。
そして恩師がダイイングメッセージを書こうとしているのを見た時、彼女の中で何かがはじけた。
父親を救う為に恩師の両手を切り落とし、血でメッセージを消したのだ。
当主は動揺しながらも「そんなはずはない。私にはもう次女しかいない。2人で静かに暮らそう。」
と次女に近寄るが、次女はいきなり当主の首を切り落とした。完全にこだまに支配された次女は愛する父親さえも認識出来なくなっていた。
しかし静かに語りかける主人公に、一瞬自分を取り戻し、泣きながら命を断つ。
次女が火を放った屋敷から彼女を連れ出した主人公は、
小舟に次女を乗せそっと額にキスをして湖に小舟を押し出した。
主人公はそこに立ち尽くし涙を流した。