死体は語る(上野正彦)

467 名前:本当にあった怖い名無し :2011/08/21(日) 01:39:37.65
上野正彦「死体は語る」
日本の法医学の父的存在である氏のルポものなんだけど、
事件や事故の背景にある人間関係もしっかり描かれていて後味悪い話も多い

・冬場ストーブにかかっていたヤカンを倒してしまい熱湯火傷で死亡した幼児。
 事故かと思われたが、火傷の形状から母親が直接熱湯をぶっかけた事が判明。
 障害児だったので将来を悲観して殺害したのだった。
・某大規模鉄道事故の被害者の一人である青年の片足がどうして見つからなかった。
 青年は一人息子な上に、元々片足が不自由で失ったのが健常な方の足だったせいか
 母親の嘆きは深く、いつも夢で息子が不自由な足しかないため
 三途の川を渡れず成仏できず「僕の足を見つけて」と訴える夢を見ていて
 捜査本部に何度も足を見つけてくれるよう哀願の手紙を送っていた。
 しかし結局足は見つからず、やがて手紙も途絶えてしまった…
・ある銀行の支店長が仕事上のノイローゼから自殺。
 その通夜の席で愛人と隠し子がいた事が判明する。
 妻は夫は無精子症だったからありえないと主張し裁判が始まる。
 結局血液型判定から隠し子は夫の子ではないと証明されたが
 夫はずっと自分の子だと信じていて愛情を注ぎ、毎月の手当てを欠かしていなかったのだった。

 

死体は語る (文春文庫)
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