ききたがり(TONO)

397 名前:本当にあった怖い名無し :2011/10/25(火) 16:15:58.71
うろ覚えだが昔読んだ漫画

主人公は小中学生くらいの少年
彼には3歳になったばかりの弟がいる
好奇心が育ち始めた弟は、手当たり次第になんでもかんでも「どうして」と質問してくる
「どうして、魚は水の中にいるの」
「どうして、いちごは赤いの」
「どうして、いただきますって言うの」
「どうして、夜はくるの」
少年はそんな弟がうっとおしくてたまらず、相手にするのが苦痛だった

いつからか弟の「どうして」がおかしくなった
「どうして、パパとママはずっとお兄ちゃんの事を怒ってるの」
父も母も普段通りの態度で、怒っている様子はないのに、弟はそう言う
「どうして、あのおばさんは僕にずっと手をふってるの」
弟がそう言って指で示す先は、ただの部屋の隅でおばさんなど居ない
「どうして、お兄ちゃんはずっと泣いているの」
少年は泣いてなどいなかった
「どうして、僕はずっとびしょぬれなの」
何を言っているんだと思いながら少年が弟を見ると、
弟の全身はぐっしょりと濡れていた
それを見て少年は、弟がしばらく前に死んだことを思い出した

母が出かけていたある日、少年は弟の世話を任された
いつものように「どうして」を連呼する弟の相手に嫌気がさした少年は、
ちょうど友達から遊びの誘いがきたので、弟を家に置いて遊びに行ってしまった
少年が遊びから帰るよりも先に帰宅した母が見たものは、浴槽で溺死している弟の姿だった
「どうして魚は水の中にいるのか」という疑問を弟は一人で検証しようとしたのだった


398 名前:本当にあった怖い名無し :2011/10/25(火) 16:16:10.09
どうして、こんな事を忘れてしまっていたんだろう、
そう思いながら少年は本当に涙を流した
ずぶ濡れの弟が慰めるように手を伸ばし「どうして、泣いているの」と言う
少年は、弟が死んだ日からずっと「どうして」を繰り返していた

「どうして、弟から目を離してしまったんだろう」
「どうして、弟から目を離してしまったんだろう」
「どうして、弟から目を離してしまったんだろう」

弟はまた部屋の隅をさして、おばさんが手を振っていると言った
楽しそうにその方向に走っていったまま弟は消え、
もう誰も少年に「どうして」と問いかけることはなくなった
「どうして、弟はもう帰ってこないんだろう」
少年は、答えてくれる者のいない問いかけを一人でつぶやいた


408 名前:本当にあった怖い名無し :2011/10/25(火) 18:59:35.22
>>397
TONOの短編?