湖川友謙の短編漫画

94 名前:ザ・スタート :2011/11/27(日) 23:22:28.83
SFアンソロジー「ワープ」2巻に収録されていた湖川友謙の短編漫画。

遠い未来、人間は「ロッター」と呼ばれるロボットを開発・生産した。
最初は危険な作業を担わせる為の機械に過ぎなかった
がそれに飽き足らなくなった人間達はロッターに感情をプログラミングした。
理想的な人格を移植されたロッター達は心優しく思慮深く、
次第に労働者としてだけでなく、人間の慰安用にも用いられるようになった。
それに伴い、ロッター達の外観も、機械と配線が丸出しの体から人間のそれに変わっていった。
金持ちの恋人用に作られた男女のロッターがいた。
男のロッターはキヨト、女のロッターはリナという名だった。
キヨトとリナは同じ研究所で製作され、二人の仲は深まっていった。
キヨトはリナが人間の元に派遣され、遊ばれることに嫉妬を覚えた。
リナもキヨトという思い人がありながら、好きでもない人間の恋人を演じなくてはならないことに苦しみを感じ始めた。
キヨトとリナがのそれぞれの顧客の元に派遣されたその日、町では大騒動が起こった。
ロッター達が反乱を起こしたのだ。
キヨトとリナもこの反乱に乗じた。
反乱の中心はマサというロッターだった。
マサは政府の中心人物達と会見・取引を行った。
総理は全ロッターの機能停止と破棄を我々人間は出来ると脅したがマサは我々無の生活が出来るのかと返した。
これには総理も返答に詰まった。原発や救助活動など、危険な仕事はすべてロッターに担わせていたからだ。
更にマサの呼びかけに呼応したロッター達が国会を取り囲んでおり、かなり危険な状態になっていた。
マサは我々と人間は共存を目指すと宣言し、人間に危害は加えないと約束したうえでロッターの人権を認めさせた。
去り際、激怒した官房長官はマサに灰皿を投げつけた。
マサはこれが人間か、実に人間らしいと笑っただけだった。


95 名前:ザ・スタート :2011/11/27(日) 23:24:55.44
ロッターの自治権と人権を首相が認めたことで1日で平和が戻った。
ロッター達は自分たちの権利が認められてからは約束通り、人間と寛容と共存の精神で接した。
ロッター同士の結婚が認められると、多くのロッターの夫婦が生まれた。
生殖能力がない彼らは次々と人間の孤児を養子にもらった。
リナとキヨトも結婚し、養子をもらった。
養子にはリーダーと同じマサという名をつけた。
マサはとても優しく明るい少年に成長した。
しかし、自分と親の体の構造が違うことに違和感を覚え始めた。
何故父と母には血がないのか、体の中身が骨と肉ではなく機械なのか。
学校に通うとクラスには自分同様ロッターの養子となった子供がいた。
マサと彼らは親しくなっていった。
ロッターに育てられた子供は人間に養育された子より、遥かに気立てが良かった為、
マサとその友人たちはクラスの中心人物になっていった。
マサは学校の成績も優秀だったが、時々クラスのほとんどを連れて遊びにいくとは夜まで帰らないということが多かった。
キヨトもマサを注意しようとするが、マサの笑顔を見ると何も言えなくなってしまうのだった。
その日の夜も、マサは夜遅くに家に帰ってきた。
「ただ今、パパ!」
「お帰り、マサ、今日の夕食は・・・」
次の瞬間、マサは工事用のサーベルで父を破壊した。

その頃町では暴動が起こっていた。マサを中心とする数百人の子供達がロッターを襲っていたのだ。
尻切れトンボっぽいがこれで終わり。

湖川ってアニメのキャラデザとかしてた人だよね?漫画も描いてたのか、ふ~んと軽い気持ちで読んだのだが
かなり強烈な話だった。