2003年6月 空のあなたの道へ(レイ・ブラッドベリ)

126 名前:1/2 :2012/07/11(水) 10:14:45.99
レイ・ブラッドベリ「火星年代記」2003年6月・空のあなたの道へ

火星が地球の植民地になって久しい頃、ついに黒人が火星に移民することが許された。
アメリカのとある田舎町で、白人男が女房を叱り飛ばしている。
黒人の女中が出ていく程度のことで泣くな、みっともない。というわけ。

ある粗暴な白人男は、「返済契約書」を盾に黒人の下男(ほんの少年)を移民させまいとする。
少年は読み書きが出来ないので、署名は丸印だけ。
見かねた老白人が、借金の一部を肩代わりしてやる。他の白人男も金を出してやる。

粗暴な白人男は、町から出て行く黒人の行列に罵声を浴びせる。
どっかーん!爆発だ!ニガーの黒い肉と黒い血が飛び散るぞ!ニガーの宇宙船なんて、どうせポンコツだ!

黒人少年が振り向き、叫ぶ。
「だんなさま、これから夜の暇潰しには一体何をなさるんですか?」

白人たちは顔を見合わせ、何とも言えない表情になる。黒人の行列が去ってから、一人が言う。
「聞いたか?あいつら最後まで、俺たちのことをだんなさま、って言ってたよなwwワロスwwワロス……」

いわゆるひとつのリンチですね、「奇妙な果実」ですね。


127 名前:2/2 :2012/07/11(水) 10:15:47.72
初版は1950年、執筆は1946年。
このくだりは、新装版では削除されている。
作者のSFではない短編「黒白対抗戦」もアメリカの人種問題を扱っていて、
1945年にSFではない高級誌に売れた。

初めて読んだ、アメリカの闇を扱った小説でした。
その後間もなく英語の授業でキング牧師と公民権運動を知って、
やっと少年の台詞がリンチをさしているとわかった後味の悪い思い出。


128 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/11(水) 12:18:14.32
ごめん
意味が理解できない
リンチって何か意味があるの?

131 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/11(水) 12:43:26.58
>>128
少年に「毎晩何をなさるんですかー!?」と言われて、
町の白人連中は、趣味で黒人を殺したことを思い出す描写があるのよ。
一度ではなく気随気ままに、何度も。
言われた男は最初何のことかわからず、キョトンとしていた=田舎の白人男が黒人を殺すのは、
おおっぴらには言えないが普通の趣味として認知されていた。

 

火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)(この版のみ・新版には未収録)
火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)
(この版に収録・新版には未収録)