おろち/第3話「秀才」(楳図かずお)
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459:本当にあった怖い名無し:2012/12/28(金) 15:45:47.75
- 楳図かずおの「おろち」のある一話。
1歳になる息子・優の誕生日をお祝いしていた夫婦。
父親も母親もいい大学を出ており、優もきっと成長したら立派な人になってくれるだろう、
と思い描いていた。
しかし、その夜その家に強盗が入る。
偶然起きた優が強盗を見て大声で泣き出したのに焦り、強盗は優の首を刺して逃亡する。
結局、強盗はすぐに逮捕され、
「会社をクビになって金に困っていた、嫁や子供のために仕方なくやった」
と泣きながら自白した。そして数年後、優は刺された傷の痕は残っていたが、健やかに成長していた。
しかし、傷が原因でクラスメイトからいじめられ、家に帰ると母親から勉強を強制される毎日だった。
特に勉強漬けの生活が優にはキツく、テストで悪い点をとってその度に母親に折檻されるのはいつもの事だった。
ある日、宿題で図書館の過去の新聞を調べていると、自分の傷の原因を知ってしまう。
そして、そのままその強盗の家に向かうと、
強盗の妻が泣きながら「あなたには会いたくない」と優を締め出す。
全てを悟った優はその日から自分ですすんで勉強をするようになる。
そんな優を不安そうな目で見つめる母。
それから、優は中学校で一番の成績になり
(本来は二番だったが、一番だった生徒を汚い手で引きずり落とした)、
難関高校にも合格した。
そして、大学入試の前日、母親が珍しくコーヒーを差し入れしてくれた。
それを飲んだ優は翌日酷い腹痛に襲われるものの、入試へと向かい、見事合格する。
それを聞いて取り乱す母親は取り乱しながらも優にすべてを語る。実は、本当の優は強盗に刺された傷が原因で死んでいたのだった。
母親は優を殺された怒りと憎しみで強盗の子供を無理矢理引き取った。
そして、勉強を強要させ、出来が悪い様を見て
「こいつは私達の息子とは違い、強盗の息子だから出来が悪いのだ」
と優越感に浸っていたのだった。
更に、今の優の傷は母親がナイフで刺したものだった。全てを語り終えた後、母親はナイフで自らを刺した。
「殺人犯の息子はやっぱり殺人犯、これで貴方の大学合格も取り消しね・・・」
と涙を流した。色々あって最終的にはハッピーエンドになるんだけど、だからこそ逆に後味悪かった。
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460:本当にあった怖い名無し:2012/12/28(金) 16:13:47.81
- >>459
あれは結局、家族として(たとえそれが偽りであっても)
長年過ごしている間に見えない絆が出来上がっていた、
という話だろ。
泣きながら抱き合うシーンはその象徴だし、どう読んでも後味悪くはないんだけどな。
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461 :本当にあった怖い名無し:2012/12/28(金) 16:43:43.38
- >>459では省略されてるけど、
途中強盗の奥さんが自殺したみたいなエピソードも入るんだよな。
強盗の奥さんが一番報われない話だったとおもう。
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462 :本当にあった怖い名無し:2012/12/28(金) 17:24:57.93
- 終始飲んだくれていた父親が空気。
でもこの人の苦しみも大きい。
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463 :本当にあった怖い名無し:2012/12/28(金) 19:17:45.55
- ええ話やんか。(;_;)
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464 :本当にあった怖い名無し:2012/12/28(金) 21:27:38.98
- 親が殺人犯だと大学合格が取り消しになるのか?
警察学校は身内に犯罪者がいたらダメと聞いたことがあるが…。
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465 :本当にあった怖い名無し:2012/12/28(金) 21:42:55.18
- >>464
本人が犯罪者。
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466 :本当にあった怖い名無し:2012/12/28(金) 21:44:02.21
- 母は、息子に罪を着せるため
自分を刺した。