蚕の糸

441本当にあった怖い名無し:2013/06/19(水) 13:22:29.59
「蚕の糸」

真面目なAと飽きっぽいBは二人同時に趣味として蚕を飼い始めた
ところが、蚕は病気で糸を紡ぐことができなくなり、Bはすぐにその蚕を全て山に放り出した
Aはそれを薄情だと非難し、自分の蚕を何とか快復させようと薬を与えたりするが
結局死んでしまい死骸を丁重に埋葬した

今度こそはと再び蚕を飼い、立派に飼育していくA
もう飽きたとそれ以来蚕を飼わなかったB

しばらくしてAとBは事故で同時に亡くなり閻魔大王(のような人)で生前の罪の裁きを受ける

「Aよ、お前は死にかけた蚕を延命させじわじわと苦しめた。
糸を紡げぬ蚕は既にその天命を全うしたいたのになんて酷い事を」
「しかもそれに懲りずに再び蚕を飼っていたな。
お前は自分の快楽の為に何匹もの蚕を飼い殺しにしたのだ」

「それに比べてBはすぐに蚕を山に捨てたな。
あの蚕はあの後鳥に食われたがその鳥もまた獣に食われた」
「蚕は正しく自然の中に還る事ができたのだ。
そして再び蚕を飼う事をせず自らの過ちを繰り返すことも無かったな」

「よってAは地獄行き、Bは天国行きとする」

人間にとっては美徳だったり良かれと思ってやった事でも
実際(自然とか虫的)には悪い事だったりするんだよ というお話