ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日

547ライフ・オブ・パイ 1/8:2013/09/08(日) 06:55:03.91
『ライフ・オブ・パイ』

一人のカナダ人ライターがパイ・パテルという人物の元を訪ねる。
小説のネタを探し各地を放浪していたところ、
偶然知り合ったインド人ママジからパイの存在を聞かされたのだ。
「パイの話を聞けばきっと奇跡を信じるようになる」
是非にとせがむライターへ、パイは名付け親でもあるママジの頼みならばと
自らの過去を話し始める。

1960年初め、インドのボンディシェリに一人の少年が生まれた。少年の名はパイ。
動物園を経営する父、穏やかで美しい母、やんちゃだが弟想いの兄の元でのびやかに育った。
パイは本名をピシン・パテルという。父の親友であるママジがくれた名前だ。
フランス語でプールを意味する。フランスのプールは青く透明で限りなく美しい。
しかし、インドでピシンはおしっこを意味する。このままでは確実にいじめられる。
そう思ったパイは小学校に入学して初めての自己紹介で策を講じる。
「僕の名前はピシン・パテル。パイという愛称で呼んでくれ」
そう告げると彼は黒板2枚を使ってびっしりと円周率を書き連ね始めた。
始めはピシンの響きにクスクスと笑っていた学友も
終わらない円周率に沈黙し、驚愕、やがてはπの大合唱に教室は包まれた。
パイは自分のこれからの生活を自身の聡明さで切り開いたのだ。


548ライフ・オブ・パイ 2/8:2013/09/08(日) 06:56:49.52
パイは母からヒンドゥー、遊び場だった教会の司教からキリスト、
自宅近くに多くいた教徒からイスラムの教えを得た。
若く純粋なパイはどの宗教にも美しさを感じ、3つ全てを信仰していくようになる。
父からは「幾つもの宗教を持つことは何も信じないことと同じだ」と叱責されるが
パイの信念は変わらなかった。

ある日、父の動物園に初めての虎が運ばれてきた。
虎の名は『リチャード・パーカー』
書類上のミスで捕獲人の名前欄と虎の愛称欄が逆になってしまったらしい。
名前の間違いに親しみを覚えたパイは早速虎に会いに行く。
彼はこれまでどんな動物とも仲良くやってきた。
こっそり借りた鍵で虎舎へ忍び込むと近くに置いてあった餌を取り、口笛で虎を呼ぶ。
向こうから歩いてくる虎の目にパイは不思議な光を見た。
檻の向こうへと更に手を伸ばす。

途端、父が猛烈な勢いで虎舎へ飛び込んできた。
虎の檻の前にいるパイを青ざめながら引き剥がす。
「もう少しで殺されるところだったんだぞ」怒鳴る父にパイは歯向かう。
「リチャード・パーカーは賢い、目を見れば分かる」
言っても聞かない息子へ父は荒療治を取る。
生きた小鹿を連れてきて檻の前に縛り付けたのだ。
騒ぎに驚いて奥へと引っ込んでいた虎は、小鹿を見付けると再びゆっくりと近づいてきた。
一定の距離まで来ると、虎は小鹿へと飛びかかった。
細かく砕かれた小鹿はあっという間に檻の中へと引きずり込まれた。
ヒンドゥーの教えから菜食主義を貫いていたパイにとって、それは余りに衝撃的な光景だった。
「お前は虎の目に自分の心を映していただけだ」
父の言葉に頷いたパイはそれ以後虎を恐れるようになった。


549 ライフ・オブ・パイ 3/8:2013/09/08(日) 06:58:30.35
年月は経ち、パイは16歳になった。
父は突然カナダへの移住を告げる。
政権が変わった影響で市からの援助金が打ち切られ、
ボンディシェリで動物園を続けていくことが出来なくなったのだ。
知り合いの伝でカナダに働き口がある、動物たちもカナダの動物園が高く買い取ってくれる。
このまま此処で一家と動物たちの破滅を待つよりは、とパイも納得し大型船で一路カナダへと向かう。

航海初日の夜、甲板を打つ雨の音で目覚めたパイは外の様子を見に行く。
船は凄まじい雷雨の中を航行していた。
好奇心旺盛なパイは落ちないよう気を付けながら雨の中ではしゃいだ。
暫くすると、凄まじい衝突音と共に大きく船が傾くのを感じた。
船員たちの怒号と悲鳴を聞いたパイはただ事でない気配を感じ、家族のいる客室へと向かう。
階段を降りるとそこはもう水に沈んでいた。
船員に助けを求めようと再び甲板へ戻るも、客室には早々と見切りを付けられ、
パイは一人救命ボートへと突き落とされてしまう。


550 ライフ・オブ・パイ 4/8:2013/09/08(日) 07:00:19.62
嵐が過ぎ、意識を取り戻すと救命ボートには
パイ、シマウマ、チンパンジー、ハイエナ、そしてリチャード・パーカーが乗っていた。
転覆の衝撃で檻が壊れ、動物たちが解放されていたのだ。

虎は日の光を嫌い日避けの下へ潜りこんで休んでいる。
シマウマは負傷した様で後ろ足から血を流していた。
パイは沈没船の方から流れてきたバナナの房を引き寄せると、チンパンジーへ与える。
事故の興奮が落ち着いたハイエナはシマウマに狙いを付けるようになった。
パイはどうにか阻止しようとするが肉食獣であるハイエナには怖くて近寄れない。
シマウマの鳴き声とハイエナの唸り声に興奮したチンパンジーが暴れまわる。
ハイエナは騒ぐチンパンジーの喉笛も噛みきった。
目の前で動物の死を目の当たりにしたパイは錯乱し絶叫する。
それを機にしたかのように、日避けから虎が飛び出してハイエナを噛み殺した。

ハイエナを貪り始めた虎から逃げるように、
パイは救命ボート付属の浮き輪にしがみついて海へと逃げ出す。


551 ライフ・オブ・パイ 5/8:2013/09/08(日) 07:03:12.04
その日から虎とパイの227日間の漂流が始まった。
虎は日避け付きの救命ボート、パイは浮き輪とお互いのテリトリーを守って暮らしていく。
漂流中、肉が尽きて虎は死にかけるが
彼が生きていることに救いを得たパイは不殺の教えを破り釣った魚を殺して与えた。
虎との信頼関係の兆しも見え、生活が落ち着いてきたある日巨大な嵐に見舞われる。
なけなしの非常用食料と水を失ったパイは絶望し、いよいよ死を覚悟する。

すると、パイの前に不思議な島が現れた。
見たこともない植物に覆われたその島は透き通る真水と海藻があり、
そして無数のミーアキャットが暮らす楽園であった。


552 ライフ・オブ・パイ 6/8:2013/09/08(日) 07:05:55.62
安寧の地を見つけたパイは定住を考える。
簡易のハンモックをつくり夜を迎えたパイは近くの草に奇妙なものが挟まっていることに気付く。
それは人間の歯だった。注意深く周りを見渡すと水は強い酸性に変わり、
ミーアキャット達は避難し、植物は不気味に蠢いていた。
この島は食人島だったのだ。
虎を呼び寄せ、慌てて船を出すパイ。

宛のない漂流が再び始まったことに茫然としながら、長い時間をただぼんやりと過ごしていく。
餓えと乾きの中で極限状態に陥ったパイは意識を失う。
次に目覚めた時は砂浜の上であった。
霞む視界には、こちらを振り返ることもなく森へと去る虎が映る。
訳もなく涙が出た。
パイは奇跡的にメキシコの海岸へとうちあげられたのだ。

病院へ運ばれ治療を受けたパイは日本の保険調査員から事故についてを聞かれる。
沈没した船は日本の物であったためだ。
調査員たちは虎との幻想的な漂流を語るパイに強い不快感を示す。
「そんなおとぎ話は聞きたくない」
そこでパイは調査員向けに虎の出てこない別の話をする。


553 ライフ・オブ・パイ 7/8:2013/09/08(日) 07:09:13.20
救命ボートに乗ったのはパイと仏教徒の船員、パイの母、粗暴な船内コックだった。
船内コックは沈没する前の客船で、菜食主義のパイと母に
「俺の作った肉料理に文句をつけるのなら勝手に餓えていろ」と暴言を吐いた人物。
仏教徒船員は困惑するパイと母に
「カレーも駄目ですか?僕は仏教徒だけど食べちゃいますよ…アハハ」
と軽口で気遣ってくれた人物。

船員はボートに乗り込む際足を強く打っていた。
コックは、「足を切断しなければ壊死して命に関わる 」と頻りに手術を勧める。
パイと母は暴れる船員を押さえつけコックが切断するのを補助する。
手術が響いたのか船員はすぐに死に、長期の漂流で餓えたコックは
その足の破片で魚を釣り始めた。
母は嫌悪しながらコックを強く批難した。

通りがかったウミガメを捕まえれば餓えずに済むぞと言われ、
コックの手伝いをしたパイだが、失敗して大物を逃してしまう。
怒ったコックはパイを殴る。
息子の危険を感じた母は、パイをイカダに避難させた。
その行為が侮辱であると捉えたコックは母をも殺してしまう。
そしてその新鮮な遺体で再び釣りを始める。
怒りで我を忘れたパイはよろつきながらコックを殺そうとする。
さすがに自分の所業が行き過ぎであったと自覚していたのか、
コックは抵抗することもなく静かに殺された。
パイは、コックの遺体で釣りをして命を繋ぎ、メキシコへと辿り着いた…。


554 ライフ・オブ・パイ 8/8:2013/09/08(日) 07:11:03.72
以上の話を聞いて唖然とする日本人調査員たちにパイは告げる。
「どちらの話を信じるかはあなた方次第だ」
最終的に、保険調査の報告書には「虎との奇跡的な漂流を果たした少年」と記された。

全ての話を聞き終えたカナダ人ライター。
彼はかつてパイの名付け親、ママジからこう聞いた。
「パイの話を聞けばきっと奇跡を信じるようになる」
カナダ人ライターもまた奇跡を信じた。


568 本当にあった怖い名無し:2013/09/08(日) 14:08:09.92
>>547
乙。そんな内容の映画だったのか。もっと小綺麗な話かと思ってた。
映画館でショック受けた人も多そうだな

575 本当にあった怖い名無し:2013/09/08(日) 14:50:57.37
映画館には冒険活劇を期待してただろう親子連れが結構いて、
上映後陰鬱な空気になってたのも印象深かった

576 本当にあった怖い名無し:2013/09/08(日) 14:55:22.60
>>547
わかり辛い内容の映画をわかりやすくまとめてるね
一回見たけどインドだかの宗教観も絡んでいるのか
イマイチ意味不明な映画なんだよな

後味が悪いとまではいかないけどモヤっとしたのは確か


580 本当にあった怖い名無し:2013/09/08(日) 19:30:37.22
>>554
これ、前半の虎と漂流は主人公の空想で後半の話が真実だけど
周りの人間は主人公を慮って空想の方を信じてやったって解釈でいい…んだよな?

劇場で流れてた予告編は虎と少年のハートフル漂流譚みたいな作りになってたけど
こんな話だったのか

 

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