艶漢/第二話「合わせ鏡」(尚月地)

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個人的に後味悪かった話をひとつ
艶漢って漫画の中の「合わせ鏡」って話なんだけど 

まず時代背景がだいたい大正~昭和初期くらい?袴着たりしてる
華族の令嬢で双子の姉妹がいて、姉が蓮見子、妹が菖蒲子という名だった
だがこの二人は全く似ていない
姉の蓮見子はまっすぐで長い黒髪を持ち綺麗な顔をしていて、
美しく権力のある男児と婚約している
対する菖蒲子は茶髪のくせっ毛でそばかすが浮き、少し垢抜けない
菖蒲子は「なぜ自分は醜いのだろう」と思っている

良家の子息ばかりが次々と殺される事件が起こった、と話す二人
内面では菖蒲子は自分が無意識のうちに殺人を起こしたのではないかと怯えていた
なぜならば殺人が起こった日の翌日に決まって、知らない誰かの持ち物が部屋にあるからだ
それに加え、殺された男性はみな、菖蒲子が影で想っていた男性だったから
恐怖しているところに物語の主人公(傘屋の青年)が現れて、
なんやかんやあって菖蒲子は彼に惚れ、次は彼が殺されるのではないかと怯える

そうしているうちに姉の蓮見子が主人公と二人きりで逢ったのち、
「彼が連れ去られた、菖蒲子の仕業にちがいない」と言って警官(主人公のツレ)のもとに行く
身に覚えのない菖蒲子は、今まで部屋にあった謎の物品を皆に見せ、無実を訴えた。

それに蓮見子が憤る。
「ふざけないで!そんなの私が入れたいやがらせってわかってるんでしょ」
実は菖蒲子の部屋に入れられた物品は事件に関係ないもので、
蓮見子がいやがらせのために入れていたのだった

蓮見子は、菖蒲子には期待できない分、いつも勉学お稽古で自由がなく、
自分が勉学している間遊べている菖蒲子に嫉妬していた
それに加え、婚約させられた男は無理やり蓮見子に乱暴をするような男だった
昔から菖蒲子が嫌いだったと語った。


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結果としては双子の執事が犯人だった。
彼は拉致した主人公(菖蒲子が惚れてる)に向かって言う
「菖蒲子様の心を惑わすものは全員殺す」
それをなんやかんやでかわし(ここらへんは省略)取り押さえられる執事。

それを見て、菖蒲子の形相が一変する
「何をしてくれたんだ下等な分際で」と叫びながら執事に暴行を加え、取り押さえられる。
ひたすら謝る執事。

実は執事は菖蒲子から継続的な暴行を受けていた。
菖蒲子が男性への思いを募らせた時。
自らの醜さでは相手にされないと思い、その哀しさやるせなさ、
普段のストレスを暴力という形でぶつけていたのだった

取り押さえられた菖蒲子に、蓮見子は言った
「私達、自らの不幸ばかりに気をとられてばっかりで、愚かで、まるで合わせ鏡ね」

後日、また街を歩く二人の姿。
だが前と違い、菖蒲がはとても垢抜けていた。
最近とみに美しくなり、いい殿方とも出会えたと喜ぶ菖蒲子。
その理由は、今までコンプレックスの源だった蓮見子の事情を知って、
彼女が完璧に優れているわけではないと気づいたからだと言う。

菖蒲子が言う。
「私、一時期傘屋の男性にも懸想していましたが、
 やはりあのようなものと私たちは住む世界が違うのよ」
それを聞いていた主人公(傘屋)でおわり

序盤の菖蒲子は本当におどおどしていたので
その裏ではあんな暴力を振っていたのも後味悪いし
最後の、暴力を振っていたときのように、
他人を見下すようになった菖蒲子がこわい

 

艶漢(アデカン) (1) (ウィングス・コミックス)
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