夜の三角形(長谷川集平)
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757 名前:kebi 投稿日:02/04/28 11:18
- 自分が消防4年の頃、学校の図書室で読んだ低学年向けの児童書。
確か、題名は「真夜中の大三角形」だったと。いつも仲良しで少しやんちゃな小学生三人組は
学校でも怖いと評判の算数教師にまた叱られて、
放課後もその教師の悪口を言い合いながら、帰りがてらに3人で遊んでいた。
その内、いつも遊んでいる空き地で
大量のトタン板や木材等のガラクタの山を発見する。「これ使って秘密基地作ろうぜ!(喜)」
家から持ち出した慣れない大工道具や釘を使って、
試行錯誤を繰り返しながらも基地は形を整えていった。
そして遂に完成!!
その基地の形は遠めに見ると戦車に似ていた為、
子供達は「センシャ!センシャ!」と喜び、はしゃぎまわる。
いつの間にかその基地は「戦車」という名前で子供等の暗号になり、
特に仲の良い友達だけにその事を話し、
空き地での遊びは「戦争ごっこ」が主流になっていった。ある日、またみんなで秘密基地に集合した時、友達の一人が妙な者を発見する。
それは、「戦車」の一部に突き刺さった、鋭く尖れたピカピカの三角定規だった。
「これ、なに?」
とみんながいぶかしんだ瞬間、
どこからか妙な鼻歌が聞こえて、鋭い三角定規が打ち込まれた!
「ト~チカカ~チカマ~ケカト~」
子供達は慌てて基地の影に身を潜めたが、
その定規は何枚も何枚も打ち込まれ、そのたびに妙な鼻歌が聞こえてくる。
tuzuku
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759 名前:kebi 投稿日:02/04/28 11:43
- 続き
「ト~チカカ~チカマ~ケカト~」
鼻歌とともに打ち込まれる定規の嵐もようやく止み、
静寂が戻った後も子供達はずっと震え続けていた。
ようやく誰か一人が立ち上がって辺りを見回した。
「もう大丈夫みたい」
その言葉に子供達はようやく安心する。
しかし、ケガといえばカスリ傷くらいだったが、
子供達は大変なショックを受けており、いまだ立ち上がれない子もいた。
何とか全員無事に帰宅し、その後、子供達は何日も秘密基地には行けなかった。
犯人は大体わかっていた。
あの鼻歌を歌った時の声、そして三角定規。
数学教師のヤツに違いない。でもどうして?犯人は教師である以上、学校では聞かれるのが怖くて友達同士の相談もできず、
かといって放課後に秘密基地に行けば、また襲われるかもしれない。
ならば、どうしよう?
子供達は夜に家を抜け出し、こっそりと秘密基地に集まる事にした。続く
やたら長文スマソ バイト終わったら結末書いてEですか?
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768 名前:kebi 投稿日:02/04/28 22:36
- >>757 >>759 の続き
深夜に秘密基地に集まった子供達は、一様に不安げな顔を並べていた。
犯人は数学教師に違いない、でも証拠もない。
何で自分たちがこんな目に遭うのかもわからない。
相談しても大した意見も出なかったが、みんなで集まっているだけで安心できた。
しかしそこに、再びあの定規が打ち込まれる!驚いて基地の影から外を窺うと、
何とすぐそばから例の鼻歌が聞こえてきた。
すぐ目の前に数学教師が立っていたのだ。異常な顔つきだった。
目はつり上がり、まるで三角定規のようになって、
眼球はキョロキョロと焦点が定まっていない。
口からは赤い舌がチロチロと舌なめずりをしている。子供達の頭には、学校で流れていた妙な噂が浮かんで消えた。
「あの教師、視聴覚室でいつも戦争映画見てるんだ」
「笑いながら兵隊の死んでいく話とかをするんだぜ」今度は目の前からはっきりと聞こえてくる鼻歌が、
ようやく子供達には理解できた。「ト~チカ勝~ちか負~けかと~」
も一回だけ、続く。スマソ
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769 名前:kebi 投稿日:02/04/28 22:57
- 結末
トーチカだ。
あいつにはこの基地が、兵隊の隠れるトーチカに見えるんだ。
あいつはおかしい。狂ってる。殺されちゃう。「ト~チカ勝~ちか負~けかと~」
何度も何度も投げつけられる凶器の定規から、彼等は必死で逃げ回った。
時折見える教師の顔は、狂喜していた。大笑いしていた。一人が、派手に転んだ。定規が、足をかすめたのだ。
みんなは恐ろしくて助け起こす事もできず、絶望を感じた。
教師はへらへらしながらその子に近づいてきた。
その時、基地の中に潜んでいた一人が、いつも遊んでいたパチンコで、教師の目を撃った!
教師は絶叫をあげながら、基地にしがみついた。
とたん、基地の外板は剥がれ落ち、一気にバランスの崩れた基地の大量の破片は、
しがみついていた教師と共に近くのガードレールを乗り越えて、
土手の下へと落下していった。呆然とした子供達は無言で視線をさまよわせ、
ただ、夏の夜空を見上げた。
そこには、とても明るい、夏の大三角形が輝いていた。 完小学校低学年向けの話・・・です。