胎児冷笑(藤本義一)

150 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/10/17(月) 18:14:54
藤本義一の、後味悪い短編思い出した。細かいトコはウロだけど、

主人公は医者で、人工授精の担当をしてるんだけど、ある時、
昔自分を陥れて、恋人を奪った男がたずねてくる。
男の妻は、かつての恋人。子供ができないので、人工授精してくれという。
男のほうに、子供を作る能力がなかったらしい。
どのツラさげて今頃、と思う主人公だが、この機会に復讐してやろうと企む。
受精に自分の精子を使って、かつての恋人を妊娠させようと思ったのだ。
精子の提供者は明かされないので、自分さえ黙っていればよい。もちろん、元恋人にも内緒。
自分を裏切った男と元恋人が、自分の子供を必死に育てていくのを見て、
人知れず笑ってやろうと思ったのだ。このヒミツは、誰にも話さず、墓に持っていくつもりだった。
受精の処置の日、主人公は予定通り、採りたての自分の精子を彼女に仕込む。
感謝して帰っていく夫婦。密かに笑みをもらす主人公。
ところが、臨月を迎えた出産の日。生まれたのは、黒人の子供だった。
狂ったように、主人公をなじる男。「俺を恨んでこんな事を!!」
こんなはずはない、と必死に否定する主人公。だが「じゃあ誰の精子だったか教えろ」
と迫られ、何も話すことができない。受精の時に、彼女が妊娠していなかったのは確かだ。
その時に、うまく精子が定着したはずなのも確か。
あとで彼女が黒人と寝たとしても、こんな事が起きるハズがない。
混乱し、アタマが真っ白になっていく主人公のシーンで完。

何だか良くわからないまま放り出された感が後味悪い。
勧善懲悪というのとも、因果応報というのとも違うと思う。強いて言えば生命の神秘?…


151 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/10/17(月) 18:18:16
>>150
医者と夫、妻の人種は……?
医者が黒人で夫、妻が白人なら納得行くが……。
と言うか誰からの精子か明かされない以上、
別に黒人の子が生まれてもおかしくないんじゃね?
その辺の最低限の事は教えられるのかな。

153 名前:150 投稿日:2005/10/17(月) 18:26:25
>>151
人種そのものの描写はなかったけど、
名前は、主人公も男も妻も、日本人だったと思う。舞台も日本のはず。
う~ん、最低限の良心として、一般の患者に違う人種の精子を使うことは
ないんじゃないのかなあ…
この作家の小説って、他にもゴリラだがオランウータンだかのメスを愛した学者が、
自分の精子で受胎させようとするんだけど、
生まれたのは純粋なゴリラだがオランウータンだかで(他にオスとの接触はいっさい無かった)
「こんなはずはない!!」と混乱して終わる話とかがあった。不条理恐怖小説なんだろうか?

 

胎児冷笑 (角川文庫)
胎児冷笑 (角川文庫)