十二国記/月の影 影の海(小野不由美)

822 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/02/14(火) 17:47:16
上の方で出たラノベ『十二国記』の後味悪い話し。
主人公の女子高生・陽子が異世界『十二国』へ行って色々やる物語なんだけど、
陽子がいなくなった後、日本にいる陽子の周りにいた人達の反応が後味悪い。

陽子はとても「良い子」だった。横暴な父親には絶対逆らわないし、
イジメっ子な級友と上手く折り合いをつけてイジメに加わらないようにしている。
担任も「髪が生まれつき茶色い事」を除けば、成績優秀な優等生だと思っている。

陽子は金髪の男・景麒に学校から連れ去られる格好で『失踪後』した。
『見たいと願う光景を写す宝』を使って、陽子は懐かしい故郷の様子を垣間見るが…
父親:「帰らないのは死んでる証拠。「不良と家出した」と人に知られたくない」探そうともしない。
母親:「良い子のフリで親を騙していた。信じた私が馬鹿だった」娘を信じられない。
級友:「優等生ぶってて嫌い」「宿題見せて欲しいから帰ってきて~」そもそも友達ではないらしい。
担任:「優等生は楽で良いが、素行に少々問題のある生徒の方が可愛い」そういうものですか。
イジメられっ子:「シカトしてる加害者のくせに、善人面する卑怯者」いじめっ子より嫌われてる。

省略してるけど、周りの人間の言い分は、(父親以外)「それもそうだ」と納得できる内容。
「八方美人は嫌われる」「誰から見ても良い子なんて、おかしい」って事なんだろうけど、
自分なりに一生懸命生きてきた陽子が悲惨な評価を受けているのが、すごく後味悪い。

連れ去られた異世界で、罪人として追われ、人に裏切られ、魔物に襲われ、飢餓に苦しみ、
「帰りたい故郷の懐かしい人達の陽子に対するボロクソな評価」を知り、
半死半生の陽子が生きる意志を失って、行き倒れるところで上巻終了。

上下巻なのに、あまりに悲惨な陽子のせいで、上巻だけで脱落する読者がいるらしい。
下巻は上巻の描写が生きてくる展開の良質な話なだけに、後味が悪い。


836 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/02/14(火) 19:47:21
>>822
ああ、そういえばアレは凄く後味悪かったな…
下巻になると親切な人に助けられたりして嘘の様?に都合よく進むんだけどw

陽子は元々異世界の人間(胎児のような状態のときにこちらの母親の胎に流れ着いた)
なんだけど、そうして生まれた異世界の人間は、こちらの世界ではどうも馴染めない所が
あるという設定になっている。


849 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/02/14(火) 22:51:18
>>822
私、上巻で挫折したクチだ…。
下巻は上手く行くのか。改めて読んでみようかな。

850 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/02/14(火) 23:37:00
>>849
アニメでも、最初のうじうじした陽子に嫌気がさしたけど、
どんどん漢になっていって、おもしろかったよ>十二国記

で、後味悪いのは外伝の「魔性の子」だ。
十二国の世界では、それぞれの国を治める王を、麒麟という神獣が選ぶ。
麒麟は、ユニコーンみたいな姿にも、人の姿にもなれる。
戴という国の麒麟は日本(私たちの国)に流されてしまい、
自分が麒麟だということも思い出せず、高校生として暮らしている。
ところが、彼に危害を加えた者は、次々不幸に見舞われていく。死んだりもする。
実はあちらの世界にいたときにしもべだった妖魔がついて来ていて、
ただ盲目的に主を守ろうとしていたのだった。
麒麟少年の絵の才能を認め励ました教師すら、妖魔にはなにやら
意地悪をしているように見えたらしく、あっさり殺されてしまう。
…と、最後まで彼のまわりの人間にとってはわけもわからず人が死ぬばっかりの話。

本編にも後味悪いのがあったな。
別の国の麒麟少年が、王に謀反を企てる男の手のものにさらわれて監禁される。
彼をさらったのは、更夜という名前の妖魔に育てられた孤児だった少年。
むかし彼に名前をつけてあげたのが、さらわれた麒麟少年。
友達だと思っていたのに。
更夜は、彼を妖魔ごと拾ってくれた謀反人の男のために働いていたのだ。
彼は恩人のために汚れ仕事をこなし、妖魔に食わせてたくさん人を殺す。
最後には謀反人は王に殺されたが、更夜はおとがめなしで去っていく。
この話の前に読んだ話に出てきた、半分神様みたいな男の正体が、
この更夜のその後だったと知って軽くショック。

 

月の影 影の海(上) 十二国記 (新潮文庫)
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