思考少年(藤原薫)
-
98 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/02/18(土) 02:14:01
- 藤原薫の「思考少年」を思い出した。
淡々と進むコミック短編集で、最後の話ですべてがつながるという仕掛け。
その中の一話。家族に厄介者扱いされ居場所がなく、修道院で尼僧になった少女がいる。
沈黙を守り、教会から外に出ずに神の声のみ聞くようにという教義に従って
閉じた世界で生きている。そんなある日教会に逃げ込んできた男をかくまった。
その後男は度々尋ねてきては少女に話しかけ、抑圧された生活を心配する。
少女は沈黙を守って一言も言葉を交わすことはないが、
そのうちにお互いに段々と惹かれていく。実は男は殺し屋だが、少女のために足抜けして迎えに行こうと決める。
一方少女は恋愛を禁じられているので必死で忘れて
神の声に耳を傾けようとするが、神の声などいくら祈っても聞こえないし、
神に愛されているということにも疑問を持ち始める。そして男は足抜けする前に高い賞金首を殺して
金を用意しようとするものの、失敗して殺されてしまう。
そんなことなど知らない少女は、
男の言った「自分が少女の居場所を作ってやる。神がいるのはここだけじゃないんだ」
という言葉を信じて初めて外に出る。というか教会を脱走する。殺風景な教会と違って、外に広がっていたのは風にそよぐ美しい花と木々。
感動して目に輝きを取り戻し、男の言葉を思っている少女の笑顔でFIN。