きりひと讃歌(手塚治虫)
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27 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/31(水) 13:33:37
- 手塚治虫の「きりひと讃歌」の、蘭花という中国娘のくだり思い出した
大河ドラマの結末としては一応大団円なんだけど、
主人公は大病院で働く優秀な青年医師。ある時、病院長の陰謀にまきこまれ、
治療法の見つかっていない難病に感染させられ外国に捨てられる。
主人公が感染したのは、モンモウ病という骨と筋肉が変形して死に至る病気で、
最後には犬そっくりになって苦しみながら死んでいくというもの。
中国の金持ちの道楽見世物ショーに売られた主人公は、そこで蘭花という少女と知り合う。
幼い時から、メリケン粉をまぶされで高温の油で揚げられる、という芸をしこまれた少女は、
いつしか精神に変調を来たしており、障害者の芸人を連れ込んでは性的にもてあそび、
そのうち殺してしまうという悪癖をくり返していた。
主人公も監禁されるが、彼は医者として冷静に蘭花と対峙し、
彼女はいつしか落ち着きを取り戻し、回復に向かっていく。
やがて二人で逃げ出すも、資金がない。そこで蘭花は、もう一度だけ
大道芸として油入りの芸をやり、旅費をかせぐことを決意する。
主人公はすでに顔が変形しており、人前におおっぴらに出られない。
希望を抱いて、明るい表情で最後の芸に向かう蘭花。
だが慣れない舞台装置に、協力した裏方たちの手元が狂い、
一度油から上がった蘭花の身体は、再び熱い油鍋の底へ……。
助け出された時は、蘭花はもう何も言わぬ肉のカタマリになっていた。
まだ火と油の残る道で、蘭花だったカタマリにすがって泣き崩れる主人公……
でこの章終わり。後味悪い手塚マンガ数々あれど、
あんなに胃の腑にずっしり来たラストシーンはなかったね。