夢の終わり(高橋留美子)
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363 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/24(火) 13:07:49
- 高橋留美子の短編集『人魚の傷』から『夢の終わり』。 
(捕捉) 
 主人公は人魚の肉を口にした事で、不老不死になった男(湧太)と少女(真魚※マナ)。
 まったく違う時代に生まれた二人だが、囚われていた真魚を湧太が救い出し、旅を始めた。※二人は何度死んでもやや時間がたつと生き返る。不老不死の者が死ぬのは首をはねられたときのみ。 
 ※人魚の肉は猛毒で、体に合わなかった人間は目が飛び出すなど体が変形して死ぬか、
 変形したまま『ナリソコナイ』という不死身の化け物になる。
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364 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/24(火) 13:08:45
- ある日、二人は山中で血まみれになり、息絶えていた。
 かばうように覆い被さった湧太の下で息を吹き返す真魚を、物陰から顔を包帯で覆った男が見ている。やがて湧太の死体は山の猟師の家に運ばれ生き返るが、そこに真魚の姿はなかった。 
 猟師は、彼が昔から追う、山に潜む化け物“大眼”に食い殺されたのだろうと言う。一方、真魚は顔を隠した男の家である洞窟で目を覚ます。 
 真魚のため猪を狩って帰ってきた男は包帯が解け、ナリソコナイの顔がむき出しになっていた。
 逃げようとする真魚だったが、ナリソコナイが理性を持ち、人間の言葉を話すのに驚く。汚れた服と体を洗いに湖で水浴びをする真魚を見て、 
 ナリソコナイは「こんな綺麗な女は見たことがない…」と思う。
 ナリソコナイは昔、海辺の村に住んでおり人魚の死骸を拾った。
 それを口にすると身体中に痛みを発し意識が飛び、
 気が付けば父母どころか村人達も死に絶えており、恐ろしくなって逃げ出した。
 それからずっと一人だったナリソコナイは、生き返る真魚を見つけ、うれしかった。しかし、山の中に突如、猟犬の鳴き声と銃声が響きナリソコナイは両肩を貫かれる。 
 湧太と猟師が真魚を探しに来たのだ。
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366 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/24(火) 13:10:06
- ナリソコナイは真魚を背負って逃げるが、真魚は湧太のところへ戻ると言い、
 「俺が醜いからか。こんな姿でも心は…!心は…!!」と叫ぶ。
 すると、ナリソコナイは頭の中に痛みを発し、急に帰れと言い出す。
 真魚はナリソコナイに一緒に来るよう誘った。真魚や湧太も同じ不老不死の人間だから、と。しかし追いついた猟師は「連れ出してはならない、そいつは化け物だ」と言う。 
 反論する真魚だが、ナリソコナイは岩場に伏せり、「頭がぼっとして、なにもわからなくなる事がある…」と呟いた。
 そして銃声を合図に覚醒し暴れだす。
 引き留めようとした真魚でさえわからず木に打ちつけ、猟師に腕を撃ち落とされても
 猟師と真魚を襲うナリソコナイに、やむを得ず、湧太が切りかかる。
 首から血を流し真魚の名を呼ぶナリソコナイを真魚が抱き、最後に首のなくなったナリソコナイに、湧太は
 「最後に人間に戻れたんだな」
 「ゆっくり眠れ。悪い夢はもう終わった」
 と呟いた。



