くじ(シャーリィ・ジャクスン)
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735 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/06/23(土) 10:46:11
- 同じくシャーリィ・ジャクスン「くじ」より表題作「くじ」 
六月のある晴れた日の、全住人300人ほどの小さな村。 
 広場には子供たちから老人まで、住人たちが集まり始めた。そのポケットに石を詰め込んで。
 広場の片隅には石ころが高く積まれている。
 皆が集まったのはくじ引きの行事のためだ。年1回行われてきたこの行事はこの村を作った祖先の時代からあった。
 もうずっと昔から続いてきたので、その道具も手順もほとんど失われてしまっていた。
 村の年寄りも、正しい儀式のやり方は知らない。でもこの儀式は続けられてきた。
 ずっと昔からそうしてきたからだ。
 広場の中央に据えられた箱から、一家の代表が一枚くじを引く。
 「北の村ではもうくじはやめようという話がでているらしい」
 「くじをやめた村もいくつかあるらしい」
 こんな会話が群集のそこかしこで聞こえる。
 今年はビル・ハッチンスンがくじを引き当てた。
 ハッチンスンの家族は5人。ビルとおかみさん、三人の子供。
 この5人でもう1回くじを引く。あてたのはおかみさんだ。
 「フェアじゃない、こんなのいんちきだ」おかみさんは叫びだす。
 長い年月の間に、道具も手順も失われたけれど、石を使うことは皆覚えていた。
 「さあやるんだ、みなの衆」長老のひとことで、村人たちは一斉に石をおかみさんに投げつけはじめる。
 彼女の小さな息子も石を投げる。
 これがくじの行事。なんのために行われてきたのかは、もう忘れられてしまった。これもなんか嫌な話だった。 
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744 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/06/23(土) 14:53:22
- 乙。 
 こういう後味悪さは来るな。
 何とも言えない後味がある。
 ジャクスン探してみるか。




