奇縁(高橋克彦)
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24 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/19(日) 17:40:53
- 題名忘れたけれど、多分高橋克彦の短編。
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主人公は正義派の大物弁護士。
最近では直接裁判に乗り出すことは少ないが、法曹界では一目置かれている。
そんな中、主人公夫妻は最近知り合ったKという人物に相談を受ける。
Kは主人公夫妻が遭った交通事故の加害者で、事故後は夫妻に丁寧に謝り賠償し、
怪我をした主人公を毎日のように見舞っていた。
初めは加害者ということで腹を立てていた主人公も、Kの真摯な態度に
少しずつ態度が軟化し、今では長年来の知人のように付き合っていた。Kの住む村では、地元産の木材を使った高級家具を作っていた。
しかし、デパートの家具売り場で高値で売られているそれは、
業者からとんでもない量のマージンを取られており、
その数十分の一の値段で買い取られている。
村人たちは買い取り値をもう少し上げてほしいと交渉するが、
業者からは相手にされない。
話を聞いた主人公は、Kたちに協力していろいろと交渉し、
まっとうな仕入れ値で買い取ってくれる契約を取り付けた。Kの村の一同は祝勝会を開き、主人公もそれに呼ばれる。
祝勝会にはKの妻も来ており、昔事故にあったとかで足を少し引きずっているが、
明るい笑顔とはきはきした声の美人だった。
お祝いムードの中、村の役員の一人が主人公に礼を述べながら言った。
「Kさんと先生がお知り合いだったなんて、全然知りませんでしたよ。
以前Kさんと他の役員の意見が対立した時、Kさんがその人の意見をけなすのを見て
てっきりKさんとその人が不仲だからだと思っていたんですが、
こんな秘策があったからこそだったんですねえ」
笑顔で答えながら、主人公は引っ掛かりを覚える。
その話し合いの時期は、主人公とKが知り合う前ではなかっただろうか。
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25 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/19(日) 17:41:48
- そこへ別の役員がやってきて、Kとその妻の馴れ初め話を語った。
「あの奥さんは元は地元のテレビ局の人気アナウンサーで、
Kさんはぞっこん惚れこんでねえ。
相手にされないだろうと思いつつも局の入り口あたりで待ち伏せしていて、
誤って彼女をはねてしまったんだそうだ。あの足はそのときの後遺症でね。
Kさんは誠意をこめて謝り、責任を取るといった。
初めは本局のアナウンサーになる夢を絶たれて恨んでいた奥さんも、
Kさんの真心にほだされて結婚したんだよ」
その時、他の役員の所に行っていたKが通りかかった。
「今ちょうど、あんたと奥さんの馴れ初め話をしていてね」と笑う役員らに、
そうですか、とにこやかに笑いながら言うKだったが、一瞬こちらに向けた視線に
主人公は冷たいものを感じた。もしKと知り合わなければ、高級家具の問題に主人公が乗り出すことはなかっただろう。
ひょっとしてKは、自分に近づくためにわざと狙って事故を起こしたのではないか。
妻を手に入れたときと同じ手段として。
Kと対立していた役員の意見をけなしたというのも、秘策ゆえではなく
単に気に食わなかったからであろう。その後Kはよそよそしくなり、音信も途絶えがちになった。
何も知らない主人公の妻が寂しがるのに、曖昧に答える主人公。
ある日主人公が新聞を開くと、国会議員が交通事故に遭ったという記事が目に入った。
事故の記事の写真には、深々と頭を下げるKの姿があった。
今度の狙いは国会議員か、と主人公は思った。
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細かいところはうろ覚えなんで間違ってたらごめん。
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26 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/19(日) 17:57:56
- うわ、いい感じで後味の悪い話だねー。
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27 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/19(日) 18:15:19
- 人気アナウンサーを轢いたのは後味悪いけど、
たかが弁護士雇うのに人轢いてたら
金がどれだけあっても足りないんじゃ・・?
てか免許停止にしろよ。
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28 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/19(日) 18:20:12
- >>27
いや、弁護士(主人公)の時は車同士の事故で、
主人公側の車のライトが壊れていたから過失は主人公にもある、という
事になっていたんだけれど、件のライトは事故で粉々になったので
今考えてみればそれも怪しい…という感じだった気がする。
でも免停云々は自分もちょっと思った。