「太陽はすぐ近くにあったのに」

51 名前:01 投稿日:2007/08/20(月) 13:51:31
ゲームだったと思う。
世界観としては中世ヨーロッパな感じ。

ある村に一組の夫婦がいた。
夫は額に角が生えており、妻は生まれつき太陽の光を浴びられない。
村の者たちは表向きは仲良くしているものの、内心では二人を化け物だと思っており、
夫婦が居ないところでは気味悪がっていた。
そんな扱いをされているのは当然二人も気付いていたが、
村に住まわせてもらっているのだから、と二人で支えあいながら暮らしていた。

ある日夫は、妻の笑顔を太陽の元で見てみたいと思った。
月の明かりで見るよりも、もっと綺麗だろうから。
だが、彼女にとっての太陽は、死にも繋がりかねない。

夫は病気を治す方法を探した。
村、町、どこへ行っても気味悪がられたが、何にでも効くという薬の伝説を聞く。
その日から、夫は自分の全てを薬探しに注ぎ込んだ。
情報を聞くためなら、大陸の端まででも走った。
そのため、村に帰れない日も多くなっていった。


52 名前:02 投稿日:2007/08/20(月) 13:52:50
妻はあまり笑わなくなった。
夫がたまに帰ってくると、少しだけ嬉しそうな表情を浮かべるが、昔のような笑顔は見せられなくなった。
夫はそれを、薬がまだ見付からないことに対して悲しんでいるのだと思い、さらに薬探しに没頭した。
ついに妻は塞ぎ込んでしまった。

ある日、薬を持っている者がいるという情報を得、夫はそこへと向かう。
だがその道中に盗賊に襲われ、重傷を負った。
ジリジリ照る太陽の下、痛みと出血を抑えながら、村へと戻ろうとする。
まだだ、あいつを残して逝けるものか。治してやるんだ。

やっとの思いで彼は帰ってきた。

それから二日、夫はついに息絶えた。
涙を一滴だけ零し、フラリと立ち上がると、妻は外へ続くドアをゆっくりと開けた。

太陽はすぐ近くにあったのに、と彼女はポツリと言った。

なんか切なくなった。


53 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/20(月) 14:07:37
>>51
自分が妻にとっての太陽だったことに
最後まで気づかないまま…か。
やるせねえ(´;ω;`)

54 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/08/20(月) 14:36:19
そんなら夫に言うたれや、なんて思うのは無粋だろうなw