惨事(結城昌治)
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97 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/12(水) 14:27:24
- 結城昌治「惨事」
夏休み、17歳の夏江は地元の花火大会に向かう。
先に向かった両親たちと合流しようとするのだが、大混雑でとてもみつからない。
そんななか、中学時代の友人の照子とばったり出会い、
さらに照子は男友達二人を連れてきて紹介する。
男の子のうち一人は憧れの高島先輩だったこともあり、四人で行動する流れになる。楽しく花火を見たり話したり夢心地の夏江であったが、
ふと気づくと照子がはぐれていなくなっていた。
探そうとするが男二人に大丈夫だからと止められ、
さらに気づくと混雑を抜けてすっかり人の少ない路地裏の公園まで来ていた。
怖くなって帰ろうとするが、高島ともう一人の男は急に豹変して夏江を押し倒す。
男二人にかなうはずもなく、夏江はそのままレイプされ、意識を失う。処女だった夏江はショックのあまり自殺しようとしているところを保護され、
警察で訴えるのだが、まともに話を聞いてもらえない。
高島が嘘の証言をして「夏江から誘った」と言っていたのだ。
さらに刑事や両親さえも告訴せず示談で済ませろとしつこくすすめてくる。
告訴すればどれだけお金がかかるかわからない、高島にも将来があるから
四方丸く収まる示談にしてくれ、ということなのだ。
高島の親は大会社経営、夏江の父はその下請けであった……。
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98 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/12(水) 14:27:55
- 家を飛び出し数年経ち、ようやく夏江にも恋人が出来、幸せをつかみかけていた。
だが、恋人が肉体関係を迫った瞬間、「あの時」のことを思い出し必死に抵抗してしまう。
恋人は激怒し、そのまま関係は終わる。もう恋愛も結婚も一生できないと絶望した夏江は空虚に過ごしていた。
今日も何も考えずひたすら観光バスガイドの仕事をこなす。
新婚の夫婦がバスに乗り、切符を切る。
ハッとして気づくと、その男は忘れようもない高島だった。
その幸せそうな外見から、一流大学を出、一流の会社に勤め、
美人の奥さんと恋愛結婚という人生を送っていることは容易に想像がつく。高島は夏江に気づかなかった。
もう八年も前のことで、向こうからすれば夏江の人生を滅茶苦茶にしたことなど
もはやささいなことなのだろう。バスは断崖から美しい渓谷を望む山道にさしかかった。
高島を含む数十人の観光客はその絶景に嘆声をあげる。
そのとき、向かいからもバスがやってきた。
離合するため、夏江はバスを降り、ホイッスルでバスを誘導する。
ピリッ、ピリッ、という音にあわせ慎重にバックするバス。
その笛の音にあわせ、夏江の頭に「あの時」の瞬間が思い出される。
夏の花火、暗い公園、男二人の暴力、身体を貫く激痛……。バスの後輪が路肩まで来た。それをはっきり夏江は確認した。
さっきの幸せそうな高島の顔、夏江を犯したときの歪んだ高島の顔、
その両方が夏江にさらに後退の笛の音を鳴らさせた。バスの後輪は中空に浮き、バランスを失い、あっというまに横転、
そのまま断崖絶壁を谷底まで落下していった。
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99 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/12(水) 14:38:15
- やりきれないな
乗ってたのがレイパーだけなら、夏江の罪が過失で処理されて軽く済みますように
ってとこだけど、運転手も他の客もまっさかさまだからな
やりきれないな
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101 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/12(水) 14:50:20
- > 告訴すればどれだけお金がかかるかわからない
刑事訴訟に金はかからないわけだが
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119 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/12(水) 23:58:36
- >>99
おれは>>97>>98ではないが、その小説のストーリーは
映画の「ユメノギンガ」のパンフに紹介されていた。
一昔前の日本のバスガイドって、過酷な職業だったらしい。
どしゃぶりの雨の中でも、バスが踏切にきたら外に出て電車がこないか確認しないといけないとか、
バスが車庫に戻ったら掃除をしなくてはいけないとか。
そのぶん給料はいいんだけど、仕事の大変さから長く続く人は少なかったらしい。
だからその小説の女性も、仕事そのものに恨みがあって乗客まるごとアボーンしたのかもしれない。