ウィケッド(ユニバーサル・スタジオのアトラクション)

197 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/05/18(日) 22:20:10
テーマパークのユニバーサル・スタジオで見た『ウィケッド』」ってショーが、
思いがけず掘り出し物だったんだけど(後味悪いという意味で)、

書いていい?
かなりな長文になるから、一応断っとく。


203 名前:ウィケッド ① 投稿日:2008/05/19(月) 00:18:59
『ウィケッド』

童話“オズの魔法使い”の前章譚という設定のミュージカル。
老魔術師オズの前口上。
「これは二人の少女の友情の物語。
 一人は後に良い魔女グリンダと、
 悪い魔女エルファバとなった、その理由の物語だ。
 この物語を聞いた後、
 あなたはきっと誰かを大切にしたくなるだろう……」

主人公は若き日の“悪い魔女”エルファバ。
ミュージカルなのでキャラは誇張気味だが、
グリンダはチヤホヤされ慣れて無邪気に自己中心的、振り付けもセリフもキュートなハリウッド・ブロンド。
エルファバは肩肘張ったがり勉タイプで、黒衣に太めで緑の肌をしている。


205 名前:ウィケッド ② 投稿日:2008/05/19(月) 00:21:27
エルファバとグリンダは学生時代に出会い、初対面から反発する。
が、エルファバには自分にもよくわからない力(=魔法の才能)があり、
これにグリンダが興味を持って二人の距離が近づく。
友達となった二人だが、グリンダが冴えないエルファバに
「もっとオシャレしなくちゃ」と押し付ける“いかにもなエピソード”が、
内なる力に葛藤するエルファバと、価値観が表面的なグリンダを対比する。

また、グリンダには、彼女に「その力は何?」と問い詰められて
「自分にもわからない」と答えるエルファバに対し、ふくれっ面で
「私がその力を持ていて、友達に力のことを訊かれたら、ちゃんと答えるわ。だって私は、いい人だから」とか、
エルファバにお洒落させるのに
「これは私の為なのよ(=お前がダサい私の恥になる、と取れる)」
などという台詞があって、ホントに友達?と感じさせるやり取りが多い。


206 名前:ウィケッド ③ 投稿日:2008/05/19(月) 00:23:23
さて、エルファバは力の正体を知る為に魔法使いオズを会うことを決心し、グリンダに同行を頼む。
対面した老紳士オズは、彼女の魔法を試すのに、
「私の飼う猿が鳥に憧れている。彼を飛ばせてやってくれ」
と魔法書を差し出す。
これを人生の転機と期待するエルファバは魔法書を使い、猿の背に羽が生えるが、
ちなみにこれは原作でも登場する怪物
翼のある猿の原型である。

しかし猿は苦しみ、戸惑うエルファバにオズは笑う。
「これは空から敵を伺う、いい偵察役になる」
テストはエルファバを利用する為のものだった。
彼女を傍に置こうというオズに、グリンダは喜ぶが、
エルファバは拒んでその場から逃げ出す。


207 名前:ウィケッド ④ 投稿日:2008/05/19(月) 00:24:26
グリンダが追いかけオズに謝るよう諭すが、
エルファバは「私の中で何かが変わった(=力は自分の意思で使うという決意)」と歌う。
そこへ国中に響くオズの声。
「エルファバは罪のない猿を魔物に変えた。奴こそ悪い魔女、緑の肌は悪魔の印だ」
オズから逃れる為、エルファバは“西”を目指す。
グリンダに一緒に逃げようと言うが、彼女は「行けない」と答える。
「けれど、あなたは私の親友。あなたと出会えて良かった」
と歌うグリンダ。抱き締め合う二人、
の前にオズの追っ手が現れる。
エルファバは魔法を解き放ち、空高く舞い上がる。
「私は自由だ。もう誰も私を引きずり下ろすことはできない。誰も」
高らかに歌い上げるエルファバ。
暗転、カーテンコール。

208 名前:ウィケッド ⑤ 投稿日:2008/05/19(月) 00:27:03
ここからは、私が後味悪く感じた点だが、

1.グリンダに友情あるの?
  損得で、金のあるブスを傍に置く女、って感じがする。
  最後、ピンチにはあっさり見捨ててる。
  物語の結末が“二人の真の友情が~”的な流れになっているが、
  額面通りに受け取っていいのやら困る。

2.狂言回しであり、
  全てを見通す賢者の役目かと思ってたら、悪者のオズ。
  前口上で「エルファバが悪い魔女になった理由……」と言っていたけど、お前じゃん。
  初めはサンタクロース的いい人なので、落差もでかいのさ。

3.なので、オチで“オズの真意”的なフォーローがあるかと思いきや、何もない。
  ホントに悪者で終わる。
  となると、終始オズ側に立っているグリンダも、悪者側……?


209 名前:ウィケッド ⑤ 投稿日:2008/05/19(月) 00:31:44
4.設定上“オズの魔法使い”に物語が続く。
  結末で心の自由を得たエルファバも、
  悪として滅ぶ運命が確定しているし、グリンダは良い魔女になる。
  美しいけど意地悪な娘と醜いが優しい娘の結末には、違うくない?
  西の魔女はドロシーに殺されるんだし、オズのエルファバへの悪意が一貫してる。

5.という点から、
  これは友情モノとしながら、
  実は見せかけの友情を皮肉る意図の物語だと思うんだが、とすると、
  テーマパークのショー向けじゃないよね。
  UFJは客層高めだとしてもさ。
  しかも、ショーのステージは、園内でも小さなお子様向けエリアにあるんだよ。


210 名前:ウィケッド ⑥ これで終わりっす 投稿日:2008/05/19(月) 00:33:18
6.と、思いきや、寡聞にして知らなかったんですが、
  これってブロードウェイ・ミュージカルが元にあって、その原作まであるそうです。
  劇団四季でも演ってます。
  (四季版だと表記は198のいう『ウィキッド』となる)。
  それが、UFJ版はかーなりのダイジェストみたいで。
  推測ですが、元の話では二人の見せかけの友情が本物になる過程や、オズの行動の真意、がある?
  そこを端折ると話が180°変っちゃうけど、
  じゃあ編集がバカってこと?ワザと?
  ただ、原作もブラックな内容だそうなので、
  元々イヤな話の可能性もありますけど。

……と、まあ内容も、媒体も、
背景も含めて多重に後味悪かったワケで。
もし、完全版をご存じの方おられましたら、
違いの部分を御指摘頂けますと幸いです。

それと、通し番号、⑤が重複ですわ。スマン。
でわ、スレ汚し様でした。

 

ウィキッド(上) 誰も知らない、もう一つのオズの物語
ウィキッド(上)
誰も知らない、もう一つのオズの物語
(原作)
ウィキッド(下) 誰も知らない、もう一つのオズの物語
ウィキッド(下)
誰も知らない、もう一つのオズの物語
(原作)
オズの魔法使い (ハヤカワ文庫)
オズの魔法使い
(ハヤカワ文庫)