ぼくらの alternative(大樹連司)
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75 名前:1/3 :2008/07/24(木) 22:14:09
- ぼくらのっていう漫画から派生した「ぼくらのオルタナティブ」というラノベ。
臨海学校にやってきた14人の小中学生たちは、
マーヤと名乗る謎の少女に誘われるまま巨大ロボットの操縦者になるという契約をする。
真面目に取りあっていなかった子供たちだが、現実の存在として
全長500メートルものロボットが現れ、そして同じぐらいのサイズの怪獣まで出現してしまう。
夢か現実か疑い、恐れながらもはりきってロボットを操縦して怪獣倒しに励む子供たち。
だが、巨大なロボットは一回操縦するごとに一人の契約者の魂を燃料として奪うのだった。
不定期的に怪獣が現れるたびに、子供たちは戦い、一人ずつ減っていく。
戦いを避けることはできず、48時間以内に決着をつけないとこの世界ごと滅びるのだという。お約束な設定だが、実は戦いの相手である怪獣もまたロボットであり、
その操縦者は並行世界の人間。このロボット戦は、広がりすぎた並行世界の
分岐を絶ちあうためのものだった。勝利条件は「怪獣を倒すこと」だと思われていたが、
実は、敵ロボットの操縦者を殺すことであり、子供たちはただ死ぬだけではなく、
殺人者として死んでいかなければならなかった。
この舞台となっている世界は以下、A世界と呼ぶ。戦いの補佐役には「コエムシ」という謎の物体(マスコットキャラのような風貌)がついている。
ロボットへの乗り降りはコエムシの持つ、テレポート能力により行われているのだが、
マーヤはその能力を使わせて各地に赴いては暗躍していた。
謎の巨大ロボットが頻繁に出現しているために各国から日本は危険視されていたのだが、
マーヤの暗躍によってその向きは余計に強まり、日本は世界の中で危うい立場になっていく。実はマーヤは、以前にすべてのロボット戦を勝ち抜いて、
存命が確定された並行世界(B世界)からやってきたのだった。
B世界は存続こそしたものの、とても人間の住めるような環境ではなくなっていた。
ロボットを巡ってB世界の人間同士で戦争が起き、核に汚染されてしまったためだ。
奇跡的に生き残れたのはマーヤを含めた、わずかなものだった。
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76 名前:2/3 :2008/07/24(木) 22:17:07
- 「コエムシ」は戦いに勝ち抜いた世界の者がなることになっており、
次の世界に戦いを引き継がせ、すべての戦いを見送ったら、
その世界の人間を次のコエムシにさせ、自分の世界に戻って人間として生きることができる。
B世界での契約者ではなかったものの、深く関わっていたマーヤはコエムシとなった。
そして、もう自分には帰れる世界がないのだからと、次のコエムシを作らずに、
延々とコエムシとして並行世界を渡り歩くようになった。その中でマーヤは、このロボット戦は一体誰が起こしているのだろうかと考え続けていた。
巨大なロボット、並行世界同士の戦い、マーヤはそれらに神のような大きな存在を感じた。
そして、その神があまりにも人間中心なものの見方をしていることに気づいた。
世界そのものを賭けた戦いを、広い宇宙のうちの一つの星でしかない地球の、
その中でも更にたった一種の生命だけに託すのはおかしい。
神なるものならこんな回りくどいことをする必要もないのに、まるで悪趣味なゲームのようだ。
そこでマーヤは、人類を重きにおいたこの戦いの意味をなくしてしまおうと思いついた。
すなわち、人類の絶えた世界ばかりを勝ち抜けさせようというもの。
B世界のような世界を大量生産させれば、
神なるものに抗うことになるのではないか。マーヤはそれから、何百もの世界を勝たせ、そして人類を死に絶えらせた。
A世界で解説役を務めているコエムシは、そのうちの一つの世界でマーヤがスカウトした。
コエムシ役を他者に任せ、人間形態でいた方が契約をさせやすかったからだ。そんな経緯を経てマーヤはA世界にやってきて、A世界も同じ道に引き込もうとしていた。
だが、神は一向に現れない。半ば、マーヤの手段は目的に変わっており、
平和な人々に、B世界の生き残りの自分と同じ思いをさせてやりたいだけになっていた。
マーヤの目論見通り、A世界には核の雨が降り、
日本では生き残りの人々はシェルター内での生活を強いられた。ようやく政府の人々(わりと早い段階で契約者たちの協力者になった)はマーヤの暗躍を知るが、
最早どうしようもない状況。だが、マーヤの存在は彼らに希望も与えた。
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77 名前:3/3 :2008/07/24(木) 22:20:15
- 残り少ない戦いに勝ちぬき、生き残った人類ごと引き継ぎ先の世界に移住すればいいのだ。
色々あってマーヤ死亡。そしてA世界は勝ち抜くことができた。
コエムシは今まで幾つもの世界を滅ぼした償いとして、人類の移住に協力した。引き継ぎ先であるC世界は、A世界の住人を快く受け入れてくれた。
Aから事前にルールなどを教えてもらい戦いが有利になったことなどがその理由であった。
荒廃していようと生まれ故郷を捨てられないと、移住を拒否する者もいたが、
多くの生き残りの人々はC世界の無人地帯を与えられ、援助を受けつつ、街作りに励んだ。
基本的に居住区からの外出は許可制で、選挙権などもない。
だがそれらは、自らの星を破滅に追い込んだ結果だと人々は受け止めた。
人々の中には、ロボットの契約者だった子供たちの家族や友人、
そしてA世界での、まだ幼いマーヤの姿もあった。皆は新しい世界で懸命に暮らし始めていた。
A世界ではかなり最後まで戦闘に関する情報を世間に知らせていなかったが、
C世界では最初からオープンに扱い、全ての国が協力体制をとっていた。
はじめの戦いで、各国の戦闘機が応援にやってきたのを見て、
C世界は国同士の戦いで滅びるようなことにはならないだろうと、A世界の人々は希望を抱く。だがA・C両方ともに不安があった。二つの世界は似ていても、少しずつ違うのだ。
例えば、C国の日本は現実のものと近いが、A国の日本は憲法九条を破棄し、
自衛隊を国防軍と改めており、アメリカよりも中国寄りになっている。
インターネットの規制も厳しく、携帯電話に至っては幾つもの審査を経なければ手に入れられない。
制度が違えば価値観も変わる。Aの人々はC世界に溶け込めるのだろか?
あるいは得体のしれない異民族として脅威になってしまうのかもしれない。
また、A・C国は並行世界の存在であるため、Aに存在する人物は、高い確率でCにも存在することになる。
もしももう一人の自分に出会ってしまったら。自分が失ってしまった大切な人や物を、
何一つ失うことなく幸せに生きている「自分」に出会ってしまっても気を狂わせずにすむのか。希望があるようなないようなラストだった。
設定が複雑なので説明しきれてなかったらごめん
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82 名前:本当にあった怖い名無し :2008/07/24(木) 22:43:17
- ラノベはストーリー以前に原作の先の展開ネタバレしまくりなのが後味悪かった。
アニメもそうだったし、不遇な漫画だ
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174 名前:本当にあった怖い名無し :2008/07/25(金) 21:24:51
- >>75
結末は「不安はいっぱいあるがみんながんばって生きていこう」な感じだったから後味はそんなに悪くなかった。
むしろ過程の中の後味の悪さがすごかったから、それすら帳消しにするような爽やかさで驚いた。