メロス・レヴェル(黒武洋)

43 名前:本当にあった怖い名無し :2008/12/03(水) 16:47:13
ゲーム系で後味悪いのは「メロス・レヴェル」

舞台は近未来の日本。
家族の絆が希薄になってる事が国家的に問題になっていて、
人間同士の絆の大切さを国民に再認識させるために、政府主催の
「メロスステージ」というゲームが開催されることになった。

ルールは、恋人同士でも親子でも友人でも良いので、とにかく絆が深いと自負する
二人が一組となって、全部で10ステージのゲームに挑む。
「走れメロス」の物語になぞらえて、1ステージごとに片方がメロス役、
片方がセリウンティウス役となり、メロス役の方がセリウンティウスの運命をになって
ゲームに挑む。その間セリウンティウス役は待っているだけ。ステージごとにメロス役と
セリウンティウス役は交代しなければならない。
10組の参加者が1ステージごとに1組ずつ敗退してゆくシステム。
最後のステージまで勝ち残った1組には100億円の賞金。
しかし敗退した組に関しては敗退した時にセリウンティウス役だったものに
ペナルティが課される。
そのペナルティとは身体の機能を奪われる事。たとえば「目」の機能を奪われる事になったら、
セリウンティウス役は視覚をつかさどる脳の部分をレーザーでピンポイントで
破壊する手術を施されることになる。

主人公の高校生の少年は父親との関係が希薄だったのだが、
「なんとなく」このゲームに応募してしまい、参加資格を得る。
巻き込まれた父親は、息子がやりたいならば、と参加を了承。


44 名前:本当にあった怖い名無し :2008/12/03(水) 16:47:46
主人公父子は数ステージをなんとかクリア。
父子の絆が深まっていくことも実感していた。しかし、息子の方が
夫婦で参加していたある1組の妻の方に心惑わされてしまう。
夫の方はDQNなので妻の魅力に主人公が惑わされているのに気付き
妻に主人公をたぶらかすよう指示。妻もなんとなくそれに従って主人公の気持ちを
惑わすような行動に出る。

そして迎える次のステージ。
主人公がメロス役で、その時のゲームは、立っているだけがやっとくらいの狭さの
正方形のラインの中に数時間立ち続ける事。膝をついたり、ラインから出たりしたら
アウト。そしてその数時間の間に参加者の上に豪雨が降り注いだり、強風が吹き付けたりする。
父親を守るために必死に踏みとどまる主人公。しかし、人妻がわざとふらついて転びそうになる。
人妻のすぐ後ろに立っていた主人公は思わず彼女に手を差し伸べようとして、ラインから出てしまう!

ゲームに敗退する主人公。父親に課せられたペナルティは
「味覚」と「両足の機能」を奪われること。
女にたぶらかされたアホ息子のせいで一生食べ物の味も分からず歩く事も出来なくなる父親。

何が後味悪いって、この出来事が起こるのは物語の中盤。
それ以降主人公(だと読者が思っていた人)は出てこなくなり、
後は「誰あんた?」レベルの登場人物の戦いになる。感情移入できないことおびただしい。

最後はなんかチャラ夫とギャルのバカップル高校生が優勝してました。

 

メロス・レヴェル (幻冬舎文庫)
メロス・レヴェル (幻冬舎文庫)