おみくじマシーン
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343 名前:本当にあった怖い名無し :2008/12/11(木) 03:20:52
- 男は平凡なサラリーマン。
独身で、彼女もいないし趣味もない。たまに休日に馬券を買いに行くくらい。
ただ会社と家を往復するだけの毎日で、日々に疲れきっていた。
ある日、行きつけの喫茶店でコーヒーを飲んでいると、
ふとテーブルの隅に置いてあったおみくじマシーンが目に入る。
いつもは気にもしないが、その日はなんとなく気になって、コインを入れてみた。マシーンから出てきた安っぽいカードには、こう印刷されていた。
「あなたは日々を無難に過ごすことによって、目の前にある幸運に気付かず逃がしています。
今こそ大胆な行動に出るべきです。必ず道は開けるでしょう。」数日後、男は売掛金を現金で回収することができたので、カバンの中に大金が入っていた。
これを少し競馬に流用して、小遣いを稼いでみてはどうだろうか?
そんな、いつもなら考えもしないような恐ろしい誘惑に取り憑かれてしまう。
考えをまとめるために入ったいつもの喫茶店で、コーヒーを飲みながらあのおみくじマシーンをやってみた。マシーンから出てきたカードには、こう印刷されていた。
「あなたは今、行動に出るか迷っているようです。しかし大丈夫。運命は必ずあなたに味方するでしょう。
何をやっても成功するはずです。」
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344 名前:本当にあった怖い名無し :2008/12/11(木) 03:23:06
- 数時間後、さっきの喫茶店で、男は気を落ち着かせるために3杯目のコーヒーを飲んでいた。
男のカバンには今まで見たことも無い大金が詰まっている。
結局あれから競馬に行ったのだが、ツキにツキまくって今や手にした金は最初の何倍にもなっていた。
元手に使った金を会社に返しても、まだ相当の金が残る。男は震える手でおみくじを引く。カードにはこう印刷されていた。
「あなたは今、幸運を手にしているはずです。あとは、それを活用して思う存分楽しむべきです。」翌日、男は喫茶店でコーヒーの4度目のおかわりをしていた。
何杯飲んでも頭痛は治まらず、意識は朦朧とする。
あの後、手に入れた金を使ってバーやクラブを飲み歩き、ホステス達に派手に金をばら撒き、大いに楽しんだ。
最後は誰かとホテルに泊まったようだが、目覚めてみると部屋には誰もいなかった。
途中から完全に記憶がなくなっており、どこで飲んだのかも覚えていない。
そして、カバンからはあれだけあった金が全部消えていた。
盗まれたのか、落としたのか、それとも使ってしまったのかも分からない。
すると、男の隣に誰かが座った。男はうるさそうに追い払おうとしたが、よく見るとそれは男の上司だった。
男が売掛金を持ったまま無断欠勤してしまったので、上司が探していたのだった。
どういう事なのかと説明を求める上司を制し、男はおみくじマシーンにコインを入れる。マシーンから出てきたカードには、こう印刷されていた。
「あなたは暗示にかかりやすく、人に簡単にそそのかされてしまうタイプです。
しかし、その報いを受けるのは、そそのかした相手ではなく、あなた自身なのです。」