天使からのラブレター(杜野亜希)
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241 名前:1/3 :2009/04/17(金) 22:30:29
- 「天使からのラブレター」って漫画
売れっ子推理小説家の神林は夢見がちな童貞で、
自分の理想像を込めたミステリアスな女探偵を主人公としたシリーズを連載している。
映像化の話がくるたびに、俺の理想が三次の女に演じられるかと拒絶していたが、
断りきれなくなり仕方なく映画化を許した。その映画はその年一番の大ヒット作となった。
女探偵を演じたのは新人女優で、数多くの賞を得た彼女は引っ張りだこになり、
共演した人気俳優とも恋仲になり、神林の作品がきっかけで一気に時の人となった。
しかし彼女はそれで調子に乗りすぎてしまった。
数々のスキャンダルを起こしていつのまにか消えていった。神林のシリーズ最新作は「天使からのラブレター」という。
孤児だった少女が突如骨肉の争いにより命を狙われ、幼馴染の少年に励まされながらも、
天使を名乗る謎の人物の手紙におびえるという話。
タイトルで既にネタバレしてるが自称天使はいい奴で、
気づかれぬよう暗号で少女にメッセージを送っていたのだった。
そんでもって実は少女の命を狙っていたのは少年で、少女は最終的に自称天使と結ばれる。
どこがミステリなのか微妙なところだが、
多分色々謎とかがあってそれを探偵が推理したりしたのだと思われる。その新刊を持って女優がいきなり神林の家を訪ねてきた。
もう一度映画化を許可してほしい、もちろん主演は自分でと、彼女は頼み込んでくる。
映画は世間の評判は良かったものの神林的には黒歴史扱いだったし、
スキャンダラスなイメージのついている女優に、
自分の作品を再起のための道具にされたくないと神林は断る。
女優は、受賞後ハメを外してしまったことはあったが、
すぐに自重したし報道の多くはマスコミの捏造だと主張する。「天使~」では探偵が、怯える少女に向かい、
天使こそが理解者であるのかもしれないと語りかけるシーンがある。
女優はそのシーンをどうしても演じたい、
あの台詞の意味が今の自分にはよくわかるのだと言う。しかし神林は断固拒絶した。
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242 名前:2/3 :2009/04/17(金) 22:32:07
- 女優は連日のように神林宅に押し掛け、時には激情して怒鳴ったり泣いたりした。
どうしても役をくれないと言うのならと、ナイフを自身の胸に突き立てようとまでしたこともあった。
マネージャーがやって来て止めに入ってくれたものの、神林は疲れ果てていた。諦めたのか女優が来なくなってから一年後、女優が白骨化した遺体で見つかった。他殺だった。
警察は、押し掛けてきた女優を苛立った神林が殺したのではないかと疑うが、
マネージャー宛てに女優から
「いつも迷惑かけてごめんなさい 神林の家にももう押し掛けない」
的な内容のハガキが送られていたことや、周囲の証言などもあり、なんとか無実だと認めてもらえた。
女優が書いたハガキの最後には付け加えるように「天使~」のことも書かれており、
神林は女優を確かにうざがってはいたが、
自分の読者が殺されてしまったことには悲しみを感じ、犯人捜しに乗り出す。女優と付き合っていたはずの俳優が、実は他の女と浮気をしていたことが発覚する。
俳優は女優をスキャンダルで潰して遠ざけさせるため、
ありもしないスキャンダルを巧妙にでっちあげてはバラまいていた。
邪魔に思うあまりに彼が女優を殺したのではないかと思われたが、実は犯人はマネージャーだった。
マネージャーは女優を育て上げた人で、いつしか女優に恋心を抱くようになっていた。
しかし女優はコロッと軟派な俳優に落とされてしまう。
俳優が女優を陥れようとしていることに気づいたマネージャーは、
尚更憤ったが、女優はマネージャーの言葉を聞かずに俳優ばかりを信用し続けた。
「俺はあんたのあの小説が嫌いだよ 影から少女を見守る男の姿はまるで俺みたいじゃないか
現実はあんな風にはいかない 身近なイケメンに夢中で影から支える男のことを振り返りもしない」
マネージャーは自分のことをスルーして、騙されているのも知らずに
俳優に熱をあげる女優の愚かさに耐えきれず殺したのだと言う。
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243 名前:3/3 :2009/04/17(金) 22:33:55
- 犯人だと発覚する前に預かっていたハガキを見てある事に気づいた神林は、逮捕されたマネージャーと面会する。
「天使~」内で天使が少女に送っていた暗号と同じやり方で読んでみると、
ハガキには「あいしています」と書かれていたのだった。
勘付かせるため、わざわざ女優は「天使~」についても記述したのだった。
女優はいつからか俳優の裏切りに気づくようになった。
俳優への愛が消えると同時に、陥れられ商品価値のなくなった自分を、
それでも支え続けてくれたマネージャーへの思いに女優は目覚めていった。
「天使~」の登場人物に女優もまた、自分とマネージャーを重ねたのだった。神林はハガキの謎に気づくとともに、女優が無茶なことをしてまで探偵を演じたがっていた理由を知った。
例の探偵の台詞に共感したこと、そしてまた芸能界に返り咲いてマネージャーに恩返しをするためだ。
真実を知らされたマネージャーは、女優のことを思いむせび泣いた。
あと俳優は裏工作が色々明るみになって干された神林的にも間接的に自分が殺したようなもんだから嫌な気分だろうなあと思った
あとマネージャーはますます天使からのラブレターを嫌いになったんだろうなあ