ノルナゲストの話(フラート島本)

592 名前:本当にあった怖い名無し :2009/07/15(水) 02:30:47
北欧神話か何かのお話。

ある名門の貴族の家に元気な男の子が生まれた。
さっそく各方面に誕生祝の招待状を出したが、その中で運命を司る3人の妖精のうち、
一人に手違いで招待状を出し忘れてしまった。
(どうやったらそんな妖精に招待状を出せるのかは謎)

お祝いの席の中で、招待されなかった妖精が現れ、燃えている蝋燭を指差して
「この子の命はこの蝋燭が燃え尽きるまでだ!」と宣言した。
その妖精は、人間の寿命を司る存在だったのだ。

とっさに他の妖精が蝋燭の火を吹き消して、事なきを得た。そしてこう助言する。
「決してこの蝋燭に火をともしてはいけません。
 この蝋燭が燃え尽きない限り、この子は永遠に生き続けることができるでしょう。」

それから、赤ん坊は成長し、騎士となって活躍した。
何しろ不死身だから、戦場で何度も手柄を上げた。
そして、数多くの王に仕え続けた。

時代は過ぎ、やがてキリスト教がヨーロッパ中に広まり、新しい王もキリスト教徒となった。
王の即位の祝いの席で、王は騎士にこう言った。

「この国もキリスト教の国になったことだし、そんな怪しげな妖精の言うことなんて
 もう聞かなくてもいいんじゃないか? ひとつ、蝋燭に火を点けてみてはどうだ。」

騎士は大事にしまってあった蝋燭に火を点けると、たちまち髪が白くなり顔には皺が刻まれる。
王は慌てて火を消すように命令したが、騎士は静かに首を振って蝋燭はそのまま燃え尽きた。
後には、騎士だった白骨死体が転がっていた。