白魚(宮部みゆき)
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372 名前:1/3 :2009/10/16(金) 16:53:23
- 宮部みゆきの短編から。舞台は江戸時代の江戸。
主人公茂七(中年男性)は今でいう刑事のような役職に就いており、
様々な事件に関わってきているベテラン。近頃では旬の白魚を生きたままかき込む、という人気メニュー(白魚の踊り食い)があり、
茂七もそれを好んでいた。だが、彼の部下の一人は、白魚のつぶらな瞳を見ると
食べられなくなってしまうので苦手だと言う。ある時、神社で子供数人の遺体が発見される。
近頃、辺りで多くの孤児がうろつくようになっており、彼らもそんな孤児だった。
神社のお供え物を食べた形跡があり、
死因はおそらくその中に含まれていた毒物だろうという事になる。彼らが食べたお供え物はいなり寿司で、上手いこと子供ひとりの致死量ぴったりの
毒が仕込まれていた事がわかる
(少ないと効き目がいまいち・多いと食べる時に味でわかってしまう)。
また、子供たち全員が死んでいた事から、年上の子供が年下の子の分を奪い取ったりせず、
食べ物を皆で分け合い、助け合って生きていたらしい事が推定された。
汚い身なりでうろつく孤児をうっとおしく思った町人の誰かが、
孤児らが神社に住み着き、そしてお供えを食べている事を知った上で
犯行に及んだのだろうと茂七は考える。
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373 名前:2/3 :2009/10/16(金) 16:54:06
- 色々調べてはみるが、なかなか該当する人物は見つからない。
が、何か知っているらしい女性が茂七のもとを訪ねてくる。
彼女は大商人の店で働く女中であり、実は事件の前にその店の主人夫婦の娘
(お嬢さま。以下Aとする)に頼まれ、毒物(確か猫いらず?)を
買いに行かされたのだという。
さらに、別の女中がAに依頼されて大量のいなり寿司を作っていた事も耳にしたという。女中はAを昔から知っていたが、見た目は非常に美しい娘であるにも関わらず、
残虐な事を好む所があった。幼い時は虫を殺して楽しみ、成長するにつれ
犬や猫などの動物にも手を出すようになった。
普段は大人しく暮らしているが、周期的に「発作」が起こり、
何かを殺すまではそれが治まる事はない。
今回の事件も、「発作」に襲われたAがやったのではないかと女中は言う。女中の話から、調べが進み、犯人がAであることがほぼ確定する。
自分の満足のために平気で殺しをやってのけるAのような人間を、
理解する事はできないと茂七は思う。
だが、ふと白魚の事を思い出す。
生きた白魚を食べる時、あのつぶらな黒い瞳を見ても、何かを思う事はない。
Aとっては、必死に助け合って生きていた健気な孤児達の眼差しは、
自分達にとっての白魚程度の存在にしか見えなかったのではないかと。
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374 名前:3/3 :2009/10/16(金) 16:55:28
- Aを捕まえて刑罰を受けさせたいが、Aはあちこちにつてを持つ大商人の娘。
正攻法では隠蔽されてしまう事は間違いない。
部下とともに茂七は直接大商人のもとを訪ねていく。後日、孤児院(のようなもの)が設立され、また、亡くなった子供たちの墓がつくられる。
茂七が大商人に対し、口止め料だとほとんど脅しのような形でせしめた金を使ったのだった。その後、茂七は生きた白魚を食べなくなったという。
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375 名前:本当にあった怖い名無し :2009/10/16(金) 18:57:42
- >>372-374
乙。
茂七は白魚は食べなくとも他の魚はそれ以降も食べたんだろうな。
この茂七ってもしかしてオーストラリア人?
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378 名前:本当にあった怖い名無し :2009/10/16(金) 19:18:41
- >>372
その話、前にどっかのスレで読んで(このスレかも)
そん時も「犯人捕まらないのかよ・・・」って後味悪かったけど
やっぱ何度読んでも後味悪い。
その時のレスにたしか
「死んだ子供たちは助け合って生きていたから全員死んだ。
もし、親分みたいなのがいて飯を独り占めしてたら他の子は助かっただろう。
でもこの子たちは飯をみんなで仲良く分け合った。
だから全員死んだのだ。」
みたいな事書いてあって更にブルーになった記憶がある。
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383 名前:本当にあった怖い名無し :2009/10/16(金) 20:57:08
- >>378
宮部のはそういう真犯人は捕まらないっての多いんだよね
その大店のお嬢様は今後も発作(多分月のモノ。生理)が起こるたびに
誰か弱いものを殺さないではいられないわけだし
垂れ込んだ女中なんかも殺しかねない
できればそこの大店の主人が責任とって娘を座敷牢か
どこかに閉じ込めるか何かするみたいな文章があれば
いいんだがそういうのは絶対ない
現実的と言うか、そういうもんだろ、みたいな突きつけ方を読者に強いる
だから宮部はどんどん読めなくなってきた
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384 名前:本当にあった怖い名無し :2009/10/16(金) 21:51:12
- 逆にそういうの好きだから読んでる