ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その109 » 夜叉御前(山岸凉子)

623 名前:山岸凉子「夜叉御前」1/2 :2009/10/23(金) 12:55:20
話は山深い一軒家へ引っ越してきた家族の一人「私」=紀子の視点から始まる。
家族構成は祖母、父、母、幼い弟妹達、長女の紀子(15)。
不便な生活の中、紀子は病人の母に代わって家事をしていた。
食事を作るだけでも大変だが老人食や病人食もこなさなくてはならない。
引っ越してきた時から「私」はこの家に嫌な物を感じている。

やがて「私」はこの家に「鬼」が住んでいることを知る。
「鬼」は「私」が台所に一人でいるとき、廊下にいる時に鏡に映ったり廊下に影を落としたりする。
「この家は良くない」
そうは思うのだが、15の「私」にどうすることもできはせず、
家族が怖がるといけないので黙って恐怖に耐えている。
「鬼」は彼女の食べ物に毒を入れたり背後に立ったりと無言のプレッシャーを与えてくる。

「鬼」との戦いが続くある夜、黒い固まりが自分の上にのしかかってくるようになる。
引っかいても叩いてもそれはとても重くてどうやってもどかすことが出来ない。
そんな彼女を「鬼」が押入れの中に座って見ている。
「私」は鬼が襲ってこないよう気付かぬふりをする。

そんな日々を繰り返すうちに「私」は鬼の存在にも黒い固まりにも慣れていく。
毒の所為で受け付けなかった食事もできるようになった。
鬼を無視して鼻歌まで歌う「私」に鬼が焦っているのを感じる。
だがそれも鬼の計略だった。
「私」は食べることがやめられなくなり、どんどん太ってきたのだ。
鬼が「私」を動けなくしてから襲うつもりなのだと気付いた「私」は負けそうな気持ちになっていく。


624 名前:山岸凉子「夜叉御前」2/2 :2009/10/23(金) 12:57:14
ある夜、いつものように黒いものがのしかかっていると「私」は馴れからつい押し入れの方を見てしまう。
それに気付いた「鬼」は立ち上がり……手にした斧を振り上げ……力をこめて振り下ろした。

ここで突然視点が「私」から読者へと変わる。
斧を振り下ろした先には黒いものがいた。
頭を割られる黒いものは父、鬼は母だった。
紀子の目には母が鬼として映っている。
鬼は言う。
「紀子、お前も死ぬのだ!」
悲鳴を上げて鬼から逃げる全裸の紀子に狂乱した母が斧を振りかぶって追いかける。
その恐ろしい光景に祖母が「誰か、誰か」と助けを呼ぶ。

気が付くと「私」は病院にいた。
看護婦さんが「15でママじゃ大変ね」と言って角の生えた赤ん坊を手渡す。
当惑しながら受け取る「私」。
家族はどうなったのか聞くと、父は殺され、母は別の病院で泣いたり笑ったりしているらしい。
前からあの家はよくないと思っていた、この赤ん坊には角が生えているし
きっと鬼の祟りなのだと祖母に言うと、祖母は泣きながら母の入った病院に行けば大丈夫だと言う。

なぜか「私」はそこにこそ鬼が潜んでいるような気がするのだった。


625 名前:本当にあった怖い名無し :2009/10/23(金) 13:41:44

なんか怪異モノに見せかけて現実にありそうな家族の崩壊を
描くのが上手なんだな

 

夜叉御前―自選作品集 (文春文庫―ビジュアル版)
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