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129 名前:本当にあった怖い名無し :2009/11/13(金) 16:06:47
宇江佐真理の「髪結い伊三次捕物余話」
この物語は下っぴきをしている髪結いの伊三次と
紆余曲折をえて所帯を持った売れっ子芸者のお文と
その周辺で起こる事件や人の哀歓を描いているのだけど
そのエピの一つの『さんだらぼっち』

「さんだらぼっち」というのは米俵の両端を塞ぐための藁の蓋で
「桟俵法師(さんだわらぼうし)」がなまったもの。
(大事な米俵の蓋という意味で、庶民の間では厄除グッズになっていた)

伊三次夫婦が住んでいる町内の木戸番(子供相手の小間物も扱っている)の老夫婦が
数年前に疱瘡が流行ったときにお客だった幼い子供たちが、
何人も疱瘡で亡くなったのを憂いて、このさんだらぼっちを神棚に祀って
店に来た子供たちにおまじないとして「さんだらぼっち」と声をかけていたことから、
いつの間にか周辺の子供たちのあいさつ代わりの言葉となっていた。

ある日、お文がこの木戸番の店に来ていた時に、
こんな店に来るには珍しい武士の父娘と知り合いになったが
この娘もこの「さんだらぼっち」という言葉が大好きだった。

その後、花火大会でも偶然この父娘と顔を合わせた事から親しくなり、
娘は早苗という名で5歳だということ
母親はあまり子供に関心がなく、娘に冷淡にあたる為に大変な父親っ子に育ってしまったこと、
明日から上司の供をして地方に行くので1カ月留守をするので娘は寂しがるが
お務めなので仕方ない・・といった話をして別れた。


130 名前:129 :2009/11/13(金) 16:07:45
それから暫くして、お文は伊三次から
「近くの武士の家に強盗が入り娘と母親が殺され強盗はその父親にその場で成敗された」
という話を聞くが武家の話なの聞き流していた。

ある日、親の菩提寺にお参りに来ていたお文が
真新しい卒塔婆の前で泣き崩れている武士を見かけ
その時の父親だと知り「押し込み強盗に殺された母娘」の娘が早苗だと知って驚く。
ところが武士の告白はもっと悲惨なものだった。
続き

出張から帰った父親に早苗は大喜びだったが
疲れていた父親が早々に布団で横になっていたら
早苗が「一緒に寝る」としてやってきた。
普段は流石に寝所まではやってこない早苗の行動を疑問に思い
訳を聞くと「母様が父様を殺しに来る」という。

子供の戯言にしては異常なので、一応早苗を押し入れに隠して
自分は油断なく布団を被って待ち構えていると、果たして暫くすると
微かな物音とともに男が忍び寄ってきて、襲いかかってきたが
一瞬早く父親が飛び出してその曲者を斃した。

明かりをつけて確認すると、曲者は我が家の若党であり
廊下で成り行きを窺っていた母親を取り押さえ、別の使用人の証言から、
その若党と母親は不貞をしていて、父親が邪魔で
押し込み強盗に見せかけて殺すつもりだった、ということが分かる。


131 名前:129 :2009/11/13(金) 16:08:38
全てが終わって、父親が押し入れに隠していた早苗を出すと
母親は「お前のせいか!」と叫ぶと、いきなり持っていた懐剣で早苗を突き刺した。
よもや母親が娘を刺すとは思ってもいなかった父親は
慌ててその場で母親を切り捨てたが、早苗は即死した。
というのが事実だった。
(武士社会の体面から、事件は押し込み強盗として処理された)

なんというか、もとから母親に疎んじられて
寂しい思いをしていただろう5歳の早苗が
母親の企てを、必死の思いで阻止しようとしたのに
父親の迂闊で母親の目の前に出されてしまった為に
恨み骨髄の母親から刺し殺されてしまうなんて
早苗が可哀想過ぎて鬱だったよ。


133 名前:本当にあった怖い名無し :2009/11/13(金) 19:23:33
>>129-131
子供可哀想・・っていうか、嫁を取り押さえとくなら、
体押し付けるようにして、ちゃんと取り押さえとけよって感じだなw

134 名前:本当にあった怖い名無し :2009/11/13(金) 19:31:19
>>129-131 乙
「まさか母親が娘を手にかけるとは」という衝撃が作品の肝になってるけど
作者が男性なら「母=聖なるもの」のタブーを破るのに抵抗があるだろうから
恐らく継母か側室にしただろうなあ。

白雪姫のお妃様は原作では継母ではなく実母だったけど
「実の母親が子供を殺す」のは物語としてヤバイので
子供向けの絵本では継母の設定になったんだよね。

 

さんだらぼっち―髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)
さんだらぼっち
髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)


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