ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その112 » 天女木蘭(藤田あつ子)

553 名前:1/2 :2010/03/17(水) 22:26:09
藤田あつ子の漫画「天女木蘭」

舞台は清のころの中国。
老いた未亡人が居て、夫の遺産で裕福な彼女の家には甥2人と甥1の妻が居候してる。

甥たちも甥1の妻も、金持ちの叔母に養ってもらって当たり前どころか、
むしろ老女が孤独で哀れだから居てやってるんだ有難く思え、という態度。
老女のツケで飲んだり遊んだり、宝石を買ったりと傍若無人。

老女が折に触れて思い出すのが、死んだ息子夫婦の息子である孫。
孫は幼児の頃に誘拐されて行方知れずになり、そのショックで息子夫婦が
相次いで死んだために彼女は一人ぼっちになった。

図々しい甥たちと暮らしつつも寂しい彼女の前に、突然、青年に成長した孫が現れる。
誘拐当時に履いてた靴を証拠として示し、育ての親が死に際に「本当の家へ帰れ」と
彼女の家を教えてくれたと言う。

狂喜した彼女は青年を迎え入れ、遺言書を書き直して甥たちを叩き出そうとするが、
実行する前に死体で発見される。
犯人は甥たちか、その妻か……と思いきや、実は孫の青年。
青年は実は老女の孫でなく誘拐犯の実子で、本物の孫は誘拐直後に殺されていた。
親から死んだ子供の素性を聞いていた彼は、親の死後にその家を訪ねてきたのだ。


554 名前:2/2 :2010/03/17(水) 22:28:13
青年はしょっ引かれて獄中で自殺するのだが、後味が悪いのは青年の最後の独白。
・誘拐犯は虐待親で、青年は幼少時から非常に酷い目にあっていた。
・幼児の頃、ある夜、親が子供の死体を埋めるのを見た
(つまり、誘拐にも殺人にも彼はかんでない)。
・死体から落ちた靴が余りに綺麗で、拾ってとっておいた。
あの子は物凄く愛されてたから綺麗な靴を作ってもらったんだ、と思った。
・最後まで親は自分を愛してくれなかった。嘘でもいいから
自分を愛してくれる人が欲しくて、老女の家に来てみた。
・ひょんなことで自分が孫でないのがバレ、老女が半狂乱になったのを
落ち着かせようとしたら振り払った老女が転んで頭を打って死んでしまった。
・金が欲しかったんじゃない。老女が自分を大事にしてくれるのが嬉しかった。
自分が存在するだけで喜んでくれる人がいるのを初めて経験して、本当に幸せだった。

途中、青年が老女宅に住み始めたばかりの頃、老女が
「欲しいものはない?食べ物は?服は?それにお嫁さんも見つけなくちゃ」
と言い、青年が本気の表情で
「何もいらない。今のままが幸せです。ずっとお祖母さんと暮らしたい」
と答えて老女が幸福にひたるシーンとかがあって、それが結末の哀しさを
引き立ててた。

老女の孤独と絶望、青年の孤独と絶望、両方が上手に描かれていて、
何かが巧く噛み合ってたら幸せになれたんじゃないのかと思われてならなかった。


564 名前:本当にあった怖い名無し :2010/03/18(木) 00:34:34
>>553乙です。
あのシリーズ(煌如星シリーズ)は、後味悪いの多いよね。

565 名前:本当にあった怖い名無し :2010/03/18(木) 10:27:58
>>553
泣ける。なんとかタイミングよく出会えていればと思わずにいられない。

 

天女木蘭 (あすかコミックスDX―煌如星シリーズ)
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天女木欄 (ボニータコミックス)
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