ホーム » 小説 » 小説/か行 » 消された15番(歌野晶午)

575 名前:1/2 :2010/07/20(火) 14:28:07
小説「消えた背番号」作者は忘れた。内容もうろ覚えなんで違うとこあるかも。

一人の女が駆け落ちをした。
貧しくも幸せに暮らしていたが子供が生まれてすぐに夫が死んでしまった。
そこからは内職で家計を支え苦労に苦労を重ねて子供を育てた。
幸い忘れ形見の息子は優しくて真面目な少年に育ち、女は息子の成長が人生の全てになった。

中学生になると、息子は好きな野球で頭角を現し私立高校からスポーツ特待生の話が来た。
担任は息子の家庭の状況を鑑みて体を壊したら潰しの利かない進路だと難色を示したが
息子は母親に楽をさせたくて特待生の話を受けた。
進学してみると、スポーツ特待生を取るような学校だけに野球部ひとつとっても部員数が多く
しかもレベルの高い子ばかりいる、その中で息子は伸び悩んでしまった。
レギュラー入り出来ず試合に出られなかったが
それでも腐ることなく練習を続け、試合となればベンチから惜しみなく声援を送った。


576 名前:2/2 :2010/07/20(火) 14:29:31
高校3年になり、息子の学校は甲子園に出場した。
女も当然応援に行きたかったがどうしても断れない仕事が入ってしまい
試合の日はテレビ越しに応援せざるをえなくなった。
代わりに奮発してビデオデッキも買って試合に備えた。
そして1回戦当日。
3年になっても息子はレギュラー入り出来ずやはりベンチから一所懸命声援を送っていた。
しかし試合は終始相手のペースで逆転のチャンスがつかめない。
終盤、負けがほぼ確実になった辺りで監督がせめて選手達に思い出作りをしてやろうと
補欠選手を順に代打で出し始めた。
女にとってはバッターボックスに立つ息子の晴れ姿を見るチャンスが来たのだ。

補欠選手達はある意味順調に交代して行き、さあ次は息子の番だ!と思った瞬間、
画面が臨時ニュースに切り替わった。
その頃世間を賑わせていた幼女殺害事件の犯人が逮捕されたという。
犯人は女も知る近所のニートだった。
あの無職の穀潰しが!なんでよりにもよってこんな時に!そんなことより息子を映して!
女の叫びも届かずテレビは事件の概要を流し続ける。
やっとカメラが試合に戻ってきた頃には、三振した息子がベンチに戻っていた。


577 名前:3/2 :2010/07/20(火) 14:31:33
ごめん2回で治まらなかった。

これで息子の出番も終わりと思いきや、後の選手が予想外に頑張った。
ヒットを打ち塁に出て打順が一巡、再び息子の番が・・・
というところで臨時ニュースの続報が来た。
続報といってもさっきとほとんど内容に変わりは無い。
近隣住民が訳知り顔でインタビューに答えてるのを腹立たしく眺めてる内に
やはり息子は三振していた。
その後はもう出番もなく試合終了。女が晴れ姿を見ることも叶わぬまま息子の夏が終わった。
女は包丁を手にすると家を出た。向かった先はこれから幼女殺害犯が連行される警察署だった。
すでに多くの報道と野次馬が鬼畜の姿を一目見んと警察署前に集まっていた。
パトカーがやってきて犯人が姿を現す。カメラのフラッシュが光るその最中、女は犯人を刺した。
その場で取り押さえられ犯人は病院に送られたが死亡。
取調べに対し女は「義憤にかられて」と答えた。
世間には女の行動を支持する声もあったという。
息子は一度だけ面会に来てくれたがそれっきり行方知れずになった。
風の噂ではチンピラになったらしい。おわり。


578 名前:本当にあった怖い名無し :2010/07/20(火) 15:38:18
>さあ次は息子の番だ!と思った瞬間、画面が臨時ニュースに切り替わった。
>再び息子の番が・・・というところで臨時ニュースの続報が来た。
「繰り返しはギャグの基本」って言葉が出てきてギャグにしか思えなくなってしまった。

 

ハッピーエンドにさよならを (角川文庫)
ハッピーエンドにさよならを (角川文庫)


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...