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887 名前:自治スレでローカルルール他を議論中 :2010/10/07(木) 22:01:07
井上ひさしの「新・遠野物語」より

語り部の爺さんが子供だった頃、小学校に不思議な雰囲気を持った転校生がやってきた。
ある時、手品を見せると興奮して、目の前で子犬を出してみせた。
「タネはどうなっているの?」と聞くと「インチキだったのか…。」と
顔を真っ赤にしてどこかに行ってしまった。

彼の話によると、家は山の中にあり、母親が病気で伏せっているらしい。
「治すには薬が必要だが、なかなか手に入らない」と言っていた。

低学年の弟共々、転校生と仲良くなったのだが、
ある夏休みの日、川遊びをする事になり、転校生は岩の上から見事に飛び込んでみせた。

転校生は小さい弟に飛び込んでみるよう進める。
最初は怖がっていた弟も、思い切って飛び込むが、そのままこつ然と姿を消してしまった。
大人達の懸命な捜索の末、弟は下流のほうで溺死体となって見つかる。
尻の穴が開いており、内臓がきれいになくなっていた。
(爺さんは、魚に食われることがあるそうだがと付け加えた。)

カッパにひかれたのだという噂が広まり、弟の葬式は、
「カッパに喰われたモノの葬儀は白一色で行う」という言い伝えの通りに行われた。
そうすると、カッパは体が腐って死んでしまうのだという。

それから数日後、転校生は体が腐る奇病にかかり、死んでしまう。

聞き手(主人公)は爺さんに問う。
「それは転校生がカッパだったということですか?」
爺さんは悲しそうに答えた。
「そうだったかもしれないし、違うかもしれない。
 わしの言えることは、弟と友人、この2人が亡くなってしまったということだけだ。」

 

新釈 遠野物語 (新潮文庫)
新釈 遠野物語 (新潮文庫)


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