ホーム » 小説 » 小説/あ行 » 愛の衝撃(村田基)

348 名前:1/3 :2011/04/11(月) 02:15:21.20
昔読んだ短篇集の中の1つ「愛の衝撃」ってタイトルだったと思う。

主人公が知り合いの家に行くようになります。
あまりはっきり思い出せないけど、主人公は大学生で知り合いは大学の教授、
教授の家に資料整理か何かのお手伝いをするために通いだしたような感じです。

その家には知り合い夫婦とその娘、家政婦がいます。
娘は年頃で顔は悪くはないのに小奇麗な格好をしておらず、雇われの家政婦は
雇い主の娘であるその子にきつく当たり、自分の仕事までさせます。
けれど、両親はそんな光景を目の当たりにしても家政婦を注意するでもなく
当たり前のように許容しています。
また、両親も娘のことを可愛がっていないようで、冷たく接しています。

知り合いは主人公に1つ約束をさせます。
それは絶対に娘に構わないこと、挨拶はもちろん、話しかけることもしないようきつく言いつけます。
理由を聞いても、ただただ、この家で仕事をするなら絶対に守るように言われるだけで
主人公もあまり納得いかないものの、言いつけを守ることに。

主人公はしばらく通い続けるうちに、本当に両親も家政婦も娘を大切にするどころか
ないがしろにしてる光景を多々目撃します。
さすがに可哀想になって、ある日、約束を破って娘に話しかけたのです。
(あまり覚えてないけど、確か挨拶程度の話をしただけだったと思います。)


349 名前:2/3 :2011/04/11(月) 02:15:57.17
数日すると主人公は知り合いから、もう家に来ないように言われます。
主人公はどんなに冷たくあしらわれても健気に振舞っていた娘のことを好きになって
いたので、あなた達は娘に冷たすぎる、そんなに邪魔者のようにしか接しないのなら
自分と結婚させて欲しい、自分は娘をここにいるよりも幸せに出来るからお願いしますと頼み込みます。
その訴えを聞いた夫婦は突然、泣き崩れ、主人公に真実を話しだしました。

娘は生まれつきの病気で、他人から優しくされると感情が高ぶって発作を起こしそれが死に繋がってしまうこと。
小さい頃は抱っこするだけでも発作を起こし、死の淵を彷徨わせてしまったため
泣く娘を抱っこしてあげることも、あやしてあげることも出来なかったこと。
病気をしても看病することも出来ず、優しい言葉をかけてあげることも出来ず
ただただ、冷たい言葉を投げかけ、
邪魔者であるかのような接し方をするしか方法がなく、それをずっと続けてきたこと。
雇った家政婦は夫婦の娘に対する態度を見て、娘を不憫に思い優しくすると
娘は発作を起こすので、優しい家政婦は雇わず、ぐうたらで不真面目な家政婦を敢えて雇っていたこと。


350 名前:3/3 :2011/04/11(月) 02:16:36.98
夫婦は主人公に、娘を愛して結婚したいと言うのなら、どうか娘に優しくしないで下さい、
優しくされればあの子は死んでしまうのです、それが出来るならどうぞ娘をもらって
やって下さいと言います。
そして主人公は娘と結婚します。

結婚する際も主人公は自分の気持ちとは裏腹なことを娘に言います。
「おまえが教授の娘だから結婚してやるんだ、俺は出世がしたいからな。
おまえは俺が出世するためだけの道具なんだから」
それでも娘は求婚されたことが嬉しくて、その夜は発作を起こしたと後で夫婦から聞きます。

結婚生活が始まり、娘にとっての初夜を迎えた日も、主人公は娘を娼婦かそれ以下のような
扱いをします。
主人公は意識して娘にきつい言葉や冷たい態度を取るように努めますが
一度、無意識の寝言で娘に対して「愛してる」と言ってしまいます。
それを聞いた娘は、また発作を起こし、死にそうになりました。
主人公は心から娘を愛していて、心身共に娘を大切にしたいと願うのですが
そう思えば思うほど、娘に冷たく当たらないと娘が死んでしまうのです。
そして、主人公は今日も神経を尖らせて、娘に優しくしないよう振舞うのです。

誰も幸せにならないというか、幸せになれない結末。
後味悪いと言うよりも、なんかやるせない気持ちになった話です。

 

愛の衝撃 (ハヤカワ文庫JA)
愛の衝撃 (ハヤカワ文庫JA)


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