心の問題(武富健治)
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885 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/15(日) 15:28:47.45
- 「心の問題」という短編
主人公は地味な男子小学生。クラス内には陰日向があり、自分は日陰側の人間だと自覚していた。
同じ日陰側の友人たちと、冴えないながらも楽しい日々を送っていた。
ある時、日向側の代表的存在のような美少女・Aが話しかけてきた。
慣れない相手にはどもりまくりで挙動不審になってしまう主人公は、
彼女に対しても奇妙な振る舞いをしてしまったが、
彼女は動じる事もなく「私の好きなゲームを主人公くんも好きだって聞いて」と言い、
そこから二人はゲームの貸し借りなどを行うようになった。主人公にとって至福の時だった。
だがやがて、中学進学の際に、金持ちで頭もいいAは私立へ行ってしまい、
普通の公立中学へ進学した主人公とは離れ離れになった。主人公はAに未練があったものの、小学校時代からの日陰友達と共に楽しい中学生活を送った。
みんなで漫画を書きあう日々だった。手先の器用な主人公は絵も上手く、漫画家を目指すようになった。
仲間たちは皆あまり賢くないため、進学を希望する高校のランクは低かったが、
その高校は漫画研究部の活動が精力的なので、わくわくしながら仲間内全員で同じ高校へ進学した。高校に入学してしばらく、主人公は校内でAを見かけた。
ランクの低いこの学校に、何故金持ちで聡明なAがいるのだと不思議がりつつも、
主人公はまた彼女への思いを再燃させた。Aにはどことなく陰りができていた。
Aは先輩の男子生徒をいつも熱心に追いかけていたが、彼にはあまり相手にされていないようだった。
その先輩は有名な不良なのだが、噂によれば、Aは中学時代に彼と男女関係になり、
先輩を追いかけるためにわざわざランクを落としてこの学校に入学したのだと、同小出身者らは噂していた。
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886 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/15(日) 15:29:34.89
- 主人公はAに直接話を聞いた。Aの家は中学進学後に貧乏になってしまい、
そのいざこざで勉強もできなくなり、私立にもいけないためこの高校に来たのだという。
Aは街でチンピラに襲われかけたことがあるが、それを先輩が助けてもらった事があるのだと語った。
進学先にこの高校を選んだのは先輩がいるからというのも理由の一つではあり、
誤解されがちだが先輩はいい人で、ちょっと悪い人と付き合いがあるが自分が更生させたいとAは言った。先輩は悪い女性に片思いをしており、その女性の行きつけである、柄の悪い店に通っていた。
それを追ってAも店に通っており、治安の悪いその店に行かせる事を心配に思ったAは、
こっそりと後をつけて見守る日々を送るようになった。
夜遅くのそんな活動を続けていては漫画を書く時間もなく、昔からの友人たちは心配した。
ストーカーまがいのことだし、そんなのやっても報われないと、友人の一人の冴えない少女・Bは言う。
Bの心配そうなその様子に、主人公は「こいつ俺に惚れてる」と気づき、
ドキドキしたが、やはりAを放っておけず、部活に出ない日々が続いた。主人公はAの幸せを第一に考え、Aの気持ちを受け止めてあげてくれと先輩に直談判した。
先輩はそれは出来ないと言って、Aとの出会いを話した。
Aは「襲われかけたところを助けてもらった」と説明していたが、
実際には先輩が助けた時、Aは既に10数人に輪姦された後だった。
家庭の問題でぐれていたAは、金欲しさでもないのに援助交際をしており、
その末に男たちに目をつけられてそんな目に遭っていたのだという。
Aが先輩に惚れているのは、単に助けられたからではなく、「報われない恋をしている先輩」の模倣をしているだけで、
不幸に酔い続けているだけ、だから相手なんかできないし、自分自身も片思いの相手を思い続けているのだと先輩は言う。
Aの過去を知らされてどん引きな表情丸出しになった主人公に向かい、
「お前もAみたいに酔ってるだけだ」と先輩は吐き捨てた。
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887 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/15(日) 15:30:27.47
- Aのどぎつすぎる事情に恐れを成した主人公はその場を去り、久しぶりに部室を訪れた。
誰かが置いていったノートを開くと、しばらく見ない間にずいぶんと上達したイラストたちが描かれており、
その中には、明らかに主人公をモデルにした絵があった。
この絵はBのもので、Bはやはり自分に惚れているのだと主人公は思い、
殺伐とした遠い世界のAにではなく、身近なBにこそ愛を見出そうと考えた。そして速攻で主人公はBに告白したのだが、あっさりふられてしまった。
仲間内で恋愛事は気まずいかと思って黙っていたが、実は仲間の他の男子と中学時代から交際していたのだった。
「やたら俺に優しくしてたしAに近づくのやめろって
嫉妬みたいな事言ってたじゃないか、それにあの絵だって…」
とファビョる主人公だったが、
今までの言動は友人として心配しただけのものにすぎず、絵も書いていないと言う。
そう言いあっていたところに現れた、もう一人の仲間である太った女子は、あの絵は自分が描いたものだと名乗りでた。
Bとは絵柄が全然違うのに、しばらく漫画から離れている間に区別もつかなくなってしまったのだなとその子は残念がり、
そして醜態を晒した主人公に幻滅して、密かに抱いていた恋心もすっかり消えたと冷めたように言った。暗くて刺激的な世界へと行ったかつての高値の花のA、いつもそばにいた穏やかで身近なB、
そんな幻想を自分は勝手に抱いて押し付けていただけで、向こうは全く相手に見てくれていなかった、
妄想ばかりしている間にみんなにどんどん追いつけなくなっていった……そう主人公は絶望し、引きこもるようになった。
一人で暗い部屋でゲームばかりしていた主人公の姿にかつての面影はなく、ぶくぶくに肥えていた。
そこから立ち直るのに12年はかかったという。作者はハッピーエンドっていってるし、まあそう取れない事もないかなと思ったがすごく落ち込んだ
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889 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/15(日) 18:15:59.96
- それ俺も読んだ。すっげぇ落ち込んだ…
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891 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/15(日) 18:35:35.16
- >>885
面白かった
主人公の結局は自分しか見てない勝手なところ上手い
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895 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/15(日) 19:24:23.66
- >>885
調べてみたらジャンプSQなんだね
少年誌でこの内容か
トラウマ漫画として語り継がれそうだな