サハラ 女外人部隊/マルゲリータ・デ・ロス・アンジェルス(平野仁)

153 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/28(土) 03:04:44.08
じゃ口直しに一つ。

「女外人部隊サハラ」
60年代アンゴラ戦線を舞台に国も過去も捨て、命と貞操を賭けて闘う女たちの物語。
その中の1エピソードより。
ある日部隊にスペイン人女性(以後A)が補充配属されてくる。
Aは命知らずな神風特攻とも言うべきスタイルで大活躍するが、
その直前にコンパクトを開いて化粧直しするくせがあるため
他の隊員たちからはいい顔をされなかった。
隊長ヒステリーカは自らもそうであったように男絡みで何かあって
わざわざ外人部隊に入ったのだと直感し、Aにさりげなく話を聞き出す。
Aは元々は有名なプロフラメンコダンサーだった。
ある時駆け出しのダンサーと恋に落ち、自分のプロ生命と引き替えに
彼の成功を全力でバックアップし尽くしていた。
そしてついに彼が成功し、Aは「そろそろいいんじゃない?」と結婚を切り出す。
しかし男は「は?誰がお前と結婚するって言った?ババアのくせに勘違いしすぎw
俺はもっと若くて可愛い子にプロポーズ済みですんでw(意訳)」
とけんもほろろに振られてしまう。


154 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/28(土) 03:07:23.88
全てを失ったAは男に自分を忘れさせないよう命を賭けて最大の当て付けをする事に決めた。
スペインには兵士が戦死した時の遺族年金の受け取り相手を
自由に指定できる制度があり、指名されたらそれは絶対に拒否出来ない。
そして指名された者は国に命を捧げた勇者に尊敬の意を表すため
かならず本人が直接銀行に受け取りに行かなければならない。
仮に怪我や病気で動けなかったとしてもその枕元にまで持ってくるので逃げる事は不可能。
Aはさらにそれを少額の分割払いにしてあるので彼女が戦死すれば
男はその先何年も何十年も僅かな金のためだけに銀行に通うはめになる。
そうすればどんなに忘れたくても忘れられはしないでしょうと語るA。
化粧直しも死を覚悟しての行動だった。
やがて無茶な戦闘を繰り返すAに望み通り最期の時が訪れる。
ヒステリーカはAの亡骸と一緒にあのコンパクトも埋めてやるのだった。

後味悪いというか物悲しくも余韻のあるいい話なんだけど、
どうも男の性格を考えるとAの思惑通りダメージを受けるタマに見えないから
Aが死に損な感じがありありな辺りが後味悪いって事で。


157 名前:本当にあった怖い名無し :2011/05/28(土) 12:38:03.16
>>153-154
原作が小池一夫なんだな。なんかすんごい読んでみたくてぐぐったら
結構出てきた。