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692 名前:その1 :2011/06/30(木) 20:40:59.48
大槻ケンヂ『くるぐる使い』

余命幾ばくもない老人が、「自分は世間で思われているような立派な人間ではない」と
世話をしてくれていた新人看護婦に懺悔話を始める。

主人公は貧しい生まれで、盗みや詐欺の常習犯として育ったチンピラ外道。
ある日、祭の見世物で奇術師として小銭を稼いでいた際、
同じ舞台で「くるぐる使い」の男に出会った。
くるぐる使いとは、くるぐる(=キ○ガイ)に芸をさせる見世物師のこと。
だが、そのくるぐる使いが連れていた少女は一味違い、知能は白痴だが卓越した予知能力を持つ。
「もうすぐここに血の雨が降る」と、祭日に似合わぬ不吉な予言をした直後、
踊りの群集へ太鼓櫓が崩落して大勢の犠牲者を出した。

くるぐる使いの凄さに魅せられた主人公は、男に弟子入りする。
排泄の始末もできない少女の下の世話までしつつ同行するうち、
遂に師匠から或る極意を聞き出すことに成功する。
そしてもう用済みとばかりに師匠の鞄から金を奪ってトンズラ。


694 名前:その2 :2011/06/30(木) 20:43:17.33
一人立ちするために自分の「くるぐる」を探して各地を渡り歩く主人公。
しかし、村々で紹介されるのは単なる知的障害者や精神病者ばかりで、自分が求めるものとは違う。
師匠から盗んだ金が尽きかけた頃、ある村で、くるぐるではないが変わり者の娘の噂を得た。
その娘は人の過去の秘密を言い当てる能力を有し、皆に嫌われて孤立していた。
さっそく娘の親と交渉するが、親からも疎まれているとはいえ、キ○ガイの厄介払いとは違い
普通に年若い少女を買い取るとなると それなりのまとまった金額を要求される。
そこで主人公は少女に接近し、師匠から伝授された極意を実行した。すなわち「くるぐる作り」だ。
健常者を精神的に追い詰めて発狂させ、人為的にくるぐるを作る。
長期間監禁する・おかしくなるまでひたすら虐待を加える等、方法はいろいろあるが、
主人公は少女をコックリさんに誘い、孤独な中で支えだった唯一の親友と音信不通になったトラウマを利用して
自己暗示によるヒステリーの増幅で人格破綻へと導いた。
こうして主人公は、すっかりクルクルパーになった少女を二束三文で貰い受ける。

くるぐるになった後も少女の過去読みは冴え、「障害持ちの哀れな妹を養う孤児の兄」
という触れ込みで読心術のショーを張り、百発百中で観客の過去を当てて人気を博す。
評判を聞きつけた大手サーカス団にスカウトされ、大金も手に入った。
商売道具として大事に扱うせいか、少女も主人公になついていた。

舞台がない時間、少女は手紙を書く真似事をしたりして過ごしている。
「もう字も書けないくせに」と主人公は呆れる一方、
「日本中のくるぐるを集めて学校でも作るか?」と戯れ話に興じたりもした。


695 名前:その3 :2011/06/30(木) 20:45:49.80
ある時、主人公は路上浮浪者に落ちぶれていたかつての師匠と再会する。
流行りカゼで相棒の少女をポックリ亡くし、羽振りの良かった昔は見る影もない。
主人公は、昔盗んだ金は返す、これで新しいくるぐるを買ってくれ、と謝罪し申し出るが、
師匠は「自分にとってあの子以上のくるぐるは居ない」と断り、そのまま横死した。

折しも戦後の人権政策で「民度を貶める」として省庁が見世物小屋の廃止に動いていた時代、
主人公らのコンビは大衆にこそ人気は高いが、花形スターの空中ブランコ乗り達とは違い
表立っては新聞の取材でも団員メンバーから外される扱いだった。

そんな中、主人公は少女の舞台衣裳が出血で汚れているのを見つけ、
相棒を急病で失った師匠と自分を重ねて恐怖に狼狽える。が、それは初潮の血だった。
ほっと胸を撫で下ろすものの、少女がだんだん女らしくなってくるのと期を同じくして
今まで百発百中だった過去読みが急に当たらなくなり、くるぐる使いの芸は危機を迎える。


696 名前:その4 (終) :2011/06/30(木) 20:48:24.20
主人公は、巫女が恋をする神通力が消えるという話を思い出し、
女たらしで美形のブランコ乗りが少女にも手を付けたのではないかとの疑念を持った。
逆上した主人公はブランコ乗りに詰め寄ったが、彼は「いくら好色でも
あんなイカれた目のくるぐるを女だと思える奴なんかいるもんか」と笑い飛ばす。
カッとなった主人公はブランコ乗りをナイフで刺し、そのままサーカスのテントに放火した。

焼け跡からは、ブランコ乗りと、その近くから少女の遺体とが発見された。
恋焦がれた男を助けようとして火元に飛び込んだんだ、と思った主人公は罪悪感に苛まれる。
火事は知能薄弱の少女が起こしたのだろうという事になり、主人公はサーカス団を去った。

その後、少女の故郷の村に立ち寄った主人公は、両親に少女の死を告げる。
詫びる主人公に、親は「あんたと居られて娘は幸せだったと思う」と言って手紙を見せた。
ひどい字で殆どは支離滅裂な内容だったが、自分は兄さんと一緒になる、母さん許しておくれ
とあった。少女が火元から助けようとしていた相手は自分だったんだ、と主人公は悟る。
外道として感情を封じて生きてきた主人公は、このとき初めて「哀しさ」というものを知った。

後に主人公は、障害者用の教育施設を創立し、福祉分野の重鎮として人々の尊敬を受けた。


699 名前:本当にあった怖い名無し :2011/07/01(金) 02:07:17.05
ネムキで楠桂か大橋薫のどっちかが描いてた。

701 名前:本当にあった怖い名無し :2011/07/01(金) 02:47:52.27
凄く綺麗な絵を描くんだけど、
この物語のくるグル娘はなんかイマイチだった。
綺麗に描こうとしてるというか、悪い意味で絵幅の狭さがちょっとあって残念。

705 名前:本当にあった怖い名無し :2011/07/01(金) 15:47:31.85
>>696
少女からの手紙の最後の行、
「母さん ゆるしておくれね」がすごく悲しかったなあ

707 名前:本当にあった怖い名無し :2011/07/01(金) 19:04:00.79
オーケンは案外凄いよ。色物アーティストかと思いきや本格派SF作家。
俺はうまく書けないけど、新興宗教オモイデ教も面白かったし。
のの子の復讐ジグジグみたいに、一周回ってスカっとすることもあるけど。

708 名前:本当にあった怖い名無し :2011/07/02(土) 01:54:48.19
グミチョコパインのような鬱屈青春童貞物語、とかの方が一般的なのかな
あの人は本業が何なのかが分からんからなあ

718 名前:本当にあった怖い名無し :2011/07/02(土) 16:10:05.17
オーケン乗り遅れた
ステーシーがオーケンの歪んだ煩悩大爆発って感じだったなあ

不死身の化け物となった少女達を、人間の男達が退治と言うか、毎日毎日捕えた少女達を処分するんだが
そうした日々の欝屈に性的な抑圧も込めて、機関銃で足から胴、とバラバラにしていくとか

あの描写はエグイと言うより変にテンション高くなる

 

くるぐる使い (角川文庫)
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