ホーム » 小説 » 小説/は行 » ぼくが彼女にしたこと(西澤保彦)

427 名前:本当にあった怖い名無し :2011/07/22(金) 04:24:15.51
昔読んだラノベ。うろ覚え

団体でのキャンプに両親に連れられて参加していた幼い主人公は、川で一人で泳いで溺れてしまう
そこで主人公は年上の少女に命を助けられる
「彼女」は始め、川原に立ち、溺れている主人公を眺めていた
主人公を救った「彼女」は、冷たい雰囲気で、一言も喋らず、
主人公が命を取り留めたことだけを確認すると、そこから去って行った
幼い主人公(童貞)の記憶には、彼女の濡れた立ち姿、水の滴るスクール水着、臀部、美しい肢体が焼き付いていた

数年後(10年くらい?)、主人公はどこか人生に達観した感じの少年に成長した
父は自分の見栄えの為だけに、自分で中を見もしない空のアタッシュケースを持ち歩いていた
母は自分の保身の為だけに、夫の浮気を見て見ぬフリをしていた
主人公は両親のゲスな性格を軽蔑していたが、自分自身を両親に似ているとも感じていた

ある日、下校中の主人公は一人のOL風の女性を見かける
主人公はその女性の美しい肢体や服に浮かび上がったボディーラインを見て、「彼女」を思い出す
主人公はこの女性こそ「彼女」なのだと確信すると同時に、不穏さを感じ、性的興奮を感じながらも彼女を尾行する
主人公(童貞)自身、何故彼女を尾行してしまうのか分からず、「恋をしているのだろうか?」と自問自答する

家に帰った主人公は、母の作ったアルバムを取り出す
数年前のあのキャンプの写真は大量に残っており、ご丁寧に参加者全員の集合写真と名前も記録されていた

やがて夏休みになり、主人公はほぼ毎日彼女を尾行した。彼女の生活は家と職場を往復する毎日だった
ある日、彼女はいつもと違う道を歩く
彼女はそこで喫茶店に入り、窓際の席で誰かと待ち合わせをしている様子だった
そこへ、主人公の父が現れる。彼女の待ち合わせの相手は主人公の父だった
父は家では見せたことのない様な明るい表情で、年甲斐も無く少年のようにはしゃいでいた
「親子程に年の離れた彼女の肢体に夢中なのだろう」と主人公は推測した
父と彼女は、彼女のアパートへと入る
主人公は雨樋を登り、壁に耳をあてて彼女の部屋の音を聞いた
父と彼女の入った部屋の音を盗み聞きすることが主人公の新たな日課になる


428 名前:2/3 :2011/07/22(金) 04:29:22.45
ある夜、主人公は彼女の部屋の隣に住む男に盗み聴きの現場を見られてしまう
「黒石」と名乗るその髪が長く無精ひげを生やした野暮ったい印象の男は、主人公を自分の部屋に招き入れた
黒石の部屋は否応無しに隣の部屋の音が丸聞こえであり、
黒石は「聴きたければいつでもこの部屋にくればいい。もう危険なことはするな」と言った
黒石の部屋は外以上に彼女の部屋の音がクリアに聴こえ、主人公は黒石の部屋に入り浸るようになる
黒石は以前から主人公が彼女の部屋に聞き耳をたてていたことを知っており、
「あの二人のどちらかの知り合いなのか?」と主人公に聞いた
「父だ」とは言えず、主人公が言いよどんだのを見た黒石は、主人公が彼女に恋をしていると解釈した様子だった
その後、黒石は彼女の部屋を盗撮し、その映像を主人公に見せてくれるようになる

やがて、彼女が父との関係を清算したがっていることが分かる
父はそれでも彼女を繋ぎとめようと必死だった
彼女は様々な言葉で父を拒絶するようになっていったが、やがて鬱陶しくなったのか
「結婚してほしい」などと言って父を困らせようとするようになった
そんな状態が暫く続いたある夜、彼女はこう言い出した
「叔父様の妻の座は諦めました。娘にして下さい」
彼女は、主人公が大人になったら結婚させろと言い出したのである
娘になれば、いつも一緒にいられる。叔父と嫁が一緒にいても不自然ではない。と彼女は言った
「息子さんとの結婚を承諾してくれるのであれば、何でも言うことを聞いてあげる」
父は喜んでこれを承諾した
父が息子を交渉の道具にしたのだと理解した主人公は、父に対して殺意を抱く
主人公のその様子を見た黒石は、「彼女が弄ばれていることを怒っている」と解釈した様子だった
黒石は主人公に交換殺人を持ちかけてくる
主人公はそれに応じた

主人公の父を殺しに行った黒石は、逆に返り討ちにあって殺されてしまった
ホテルの一室で、黒石は死体となって見付かった
ニュースによると、現場から逃走する中年男性(明らかに父)の姿が目撃されているらしい

それから数日後、彼女が黒石殺害の容疑で警察に逮捕された
黒石の部屋から、彼女の部屋を盗撮したビデオテープが見付かったことが原因だった


429 名前:3/3 :2011/07/22(金) 04:36:21.29
「違う、彼女は犯人じゃない」
主人公は父が犯人だと告発する決意をする

しかし、直前でニュースで公開されていた黒石の顔写真を見て思いとどまる
黒石の顔写真は整えられて野暮ったくなく、美青年と言った感じだった
主人公がもう一度母のアルバムを取り出して確認すると、
あのキャンプの集合写真には、若い頃の黒石とその妻の姿が写っていた
主人公は全てを理解した

主人公の父は、あの数年前の夏のキャンプで、彼女を暴行していた
彼女があの時川原に立って、溺れる主人公を冷い眼で眺めていたのは、
自分を暴行した男の息子を見殺しにすることで復讐しようとしていたからだった
しかし、罪も無い幼い子供を見殺しにすることに耐えられなかった彼女は、主人公を助けてしまう
彼女の憎しみは消えなかった

そしてある時、彼女は復讐の計画をめぐらせる
黒石は自殺だった。黒石は彼女を愛していた。「命を捨ててでも救いたい」と思う程に
彼女と黒石は、父を殺人犯に仕立て上げるという形で主人公の一家を崩壊させようとしていた

彼女と黒石の計画は入念であり、主人公がどう対応するかで計画は幾つも用意されていたのだろう
主人公は思考を巡らせた
彼女が逮捕されたのも彼女の計算の内だ。彼女は主人公が自首し、父が犯人だと告発するのを待っている
ならば、主人公が自首しなかった時のことも考えているだろう
主人公は父のあの空のアタッシュケースを開いた
中には血塗れのナイフが入っていた。おそらく、彼女が入れたのだろう

主人公は、そのナイフを彼女の職場の女子トイレに隠した
主人公は心の中で、計画を壊したことを彼女に謝罪する
あの美しい肢体が、刑務所の塀の向こうに隠れてしまうというのは残念だったが、主人公は自分の保身が大事だった

“父さんは嘘をつかず警察に証言すればいい。だって殺してないんだから”


430 名前:本当にあった怖い名無し :2011/07/22(金) 04:37:47.44
書き忘れたが、主人公が彼女に感じた不穏さの正体は、彼女の計画そのものだったって感じ

432 名前:本当にあった怖い名無し :2011/07/22(金) 04:42:53.14
彼女自身の自首だった気もするわ。狙って逮捕されるってそうそうできんし

 

動機、そして沈黙 (中公文庫)
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