ホーム » 小説 » 小説/か行 » キリンヤガ(マイク・レズニック)

768 名前:本当にあった怖い名無し :2011/07/31(日) 17:38:20.99
キリンヤガってSF小説中の短編「空にふれた少女」

舞台はアフリカの絶滅危惧部族を復活させる為に用意されたキリンヤガって惑星
そこではその部族が昔ながらの習慣を守って暮らしている

短編の主人公の少女は好奇心旺盛で利発な女の子。
少女はふとしたきっかけで「文字」というものを知ってしまう。
しかしその部族では女が読み書きすることは禁じられていた。

だが一度知識の扉を叩いてしまった少女が抱く「文字」の魅力は抗いがたく
祈祷師が読み書きする行為禁じると彼女はコンピュータを使って新しい言語を作り出してしまう。

祈祷師は彼女の才能に感嘆を覚えながら、あえて部族の伝統を重んじ、
このまま読み書きをしようとするならキリンヤガには置くわけにはいかないので
他の星で暮らすように薦める。
だがキリンヤガで生まれ育った少女はキリンヤガを愛していて
別の世界では到底生きていけないという。
けれど一度知った喜びは捨てられない。

キリンヤガか、文字か。

次の日彼女は首を吊った。


777 名前:本当にあった怖い名無し :2011/07/31(日) 22:50:44.48
記憶が少しだけよみがえったわ。
胸糞悪さの少ない、なんというか切なさが尾を引くような
深ーい後味の悪さが秀逸な短編集だった。
うろ覚えすぎて他の話を紹介できないのがもどかしいけど、
部族の掟に従わない、外部の女性との軋轢みたいな話が
一番印象に残ってる。

780 名前:本当にあった怖い名無し :2011/08/01(月) 00:19:13.53
読み終えてかなり経ってから
少女が自殺と言う概念を知らなかったにもかかわらず
首吊りという死に方を発明したんだなと思って更にその死が惜しまれた

※キリンヤガの世界では若い世代は外の世界を知らないし
病にかかっても原始的治療しかできないので死亡率が高い
だがよその星への移住は認められていて、呼べば1日で迎えの宇宙船が来る

>>777
あれだけの犠牲を払ってまで祈祷師が純粋な民族文化を守ろうとしたのに
結局外からの文明にキリンヤガは汚されていくんだよね

祈祷師が賢いだけに(外の世界で育った)人道や信仰や生き方のバイリンガルに行き詰ってるのがきつい
一つの文化を守る(それが不便でも外から見て悪習でも)という信念を曲げることができないし

部族の誇りがアイデンティティの祈祷師のラストが切ない


782 名前:本当にあった怖い名無し :2011/08/01(月) 00:57:00.09
便乗ですまんが「キリンヤガ」で後味の悪いエピソード

前述のように、民族を守るという目的のために環境を整えた「異星」が舞台。
大人世代は当然「民族と文化を守る」という目的で移住を選んでいるけれど、若い世代は
その親世代に連れてこられたり、その地で生まれている。

あるとき、とても優秀で次世代のリーダー候補にもなっていた若者が、考えられない浅瀬で溺死。
主人公の呪術師が調査を始めると、どうやら「自殺」ではないか、との結論になってしまう。
いったい何が原因だと突き詰めていくと、若者世代に広がる虚無感に行き当たる。
昔と同じ生活を送っていてもそこは「異星の地」で箱庭状態であり
青年たちは「部族を守る戦士として」戦い方を学ぼうが、攻めてくる敵などどこにもいない。
つまり戦士の誇りを教え込まれ続け、誇りを抱くほどそれが「すべて意味のないこと」になっていく。
戦うべき敵がいないので戦争も起きない。出世立身もない。
毎日ただ、いもしない敵を倒すために訓練を続け、無為に過ごしたまま、親が死んでその遺産を
受け継ぐまで自分にはなにも「財産」は築けない。
そのことに絶望して彼は死を選んだのだ、ということに気付く。

その後も、血気盛んな頭の回転がいい若者が上記の現状に不満を抱いて活動を始めると
呪術師は「彼には悪霊が憑いた」と言って村から追い出すことを選ばなければならなくなる。
未来が見える者、展望がわかる者、行動力に溢れた、つまり有能な者から
自殺したり追放したりされることになり、残るのは平凡、無気力な若者だけになる。

この辺りで主人公は「この世界は間違っているのかもしれない」と気付くものの
今更自説を変えることができず、崩壊を知りつつ維持していく…

で、結局最後は自分が頑なに守ろうとしたこの世界から追放されてしまうわけだ。

 

キリンヤガ (ハヤカワ文庫SF)
キリンヤガ (ハヤカワ文庫SF)


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