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49 名前:砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない :2011/08/06(土) 19:28:44.06
後味悪い、と言うのかどうか分からないけど

主人公はリアリストの女の子でニートのヒキヲタである兄がいる。
彼女は早く独り立ちして世間で生きていける力「実弾」を欲している。
(ここで言う実弾は現実に通用する能力の比喩、お金とか生活していける職とか)

話はいきなり主人公の学校に転向して来た少女のバラバラ死体発見の報道から始まる。
そこから改めて転校生が来た日に時間が戻る。

主人公のクラスに転校生してきた少女はやせぎすの美少女なのだが、いわゆる電波系で自分は人魚だと主張し、
下らなくて最低で死んじゃったほうがいい人間というものを知るためにきましたとか言う。
もちろんクラスで友人など出来ないが、最初から無視していた主人公に
何故かしんじゃえと言ったりペットボトルを投げつけるなどして絡んでくる。
そしてその行動の後に友達になって欲しいとか言い出す。

話は進行していくが、その合間合間に主人公とニート兄が転校生の死体を捜して山を歩く描写が入る。
読者は結末を知っているのにじわじわと転校生の奇矯な行動の意味や
主人公がだんだん転校生となじんでいくさまを見せ付けられる。
暴力は愛ゆえ、好きは絶望、転校初日の言葉も本気でクラスメイトに受けると思ったから言ったらしい。
そう語る転校生は元芸能人の父と二人暮らし。

ブランド品で身を飾っているのにガリガリでスカートの中はあざだらけで
足を引きずっていて人の不幸も自分のネタにして人の話は聞かないで
自分が人魚だと言う妄想を語り続ける転校生。

小さな情報の積み重ねで彼女に何が行われているか、
何が彼女に起こるのか予測しながら読者は冒頭の事件へと進んでいく。
ついに事件が起こり、主人公はニート兄と共に彼女のバラバラ死体を発見する。
何も映さない飽きらめ切った顔の首を主人公は見下ろす。

彼女がばら撒いていた妄想は子供の放った砂糖菓子の弾丸で、現実を打ち抜く力を持たなかった。

 

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない  A Lollypop or A Bullet (角川文庫)
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
A Lollypop or A Bullet
(角川文庫)


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