ホーム » 小説 » 小説/か行 » グリーンマイル/ミスター・ジングルス(スティーブン・キング)

798 名前:1/2 :2011/10/05(水) 11:42:19.61
キングのグリーンマイルの一エピソード
舞台は死刑囚が収監されている刑務所、死刑囚である黒人の大男は
神がかり的な能力を持っている(まるで聖人のような奇跡を起こす)
性格も穏やかで心優しく、彼が残虐な少女殺害犯であるとは思えなくなった
看守たちは――というのが本筋なわけだが

同時期に刑務所に収監されている小悪党がいた。
犯した罪自体は悲惨な殺人であり、死刑になっても仕方がないようなものだし
遺族からも憎まれている。
ただ、本人は小ずるい小心者で、殺人もそれゆえに追い詰められてやってしまった
ところがあり、本来は大それたことができる人間ではない。
看守たちからも、罪は罪として刑務所内では憎めない男として遇されていた。

刑務所には鼠が出る。小悪党はその内の一匹をなつかせてかわいがっていた。
ある日、その鼠に黒人が触れたことで、鼠は高い知能を得るに至る。
ますます人間的に自分を慕う様子を見せる鼠に小悪党は夢中になり
様々な芸を仕込んで看守に自慢したり、もし出所できることがあったら
こいつを相棒にしてアメリカ中を巡業するのだと夢を語るようになった。
小悪党はミントキャンディが好物で、自分の手元にあるそれを鼠にも与えていた。

その後、小悪党は他人の悪意によって
元々用意されていたよりも数段過酷な死を迎えることになる。


799 名前:2/2 :2011/10/05(水) 11:43:02.40
小悪党が死んで以来、鼠が顔を見せることはなくなった。
看守たちも、あいつは頭が良かったから、かわいがってくれた小悪党が
もういなくなったのがわかるのだろう…程度には思っていた。

それからしばらく経ったある日、普段はめったに人が入らない天井裏を掃除する事になった。
看守たちは愕然とする。
そこには鼠の巣があり、中には手をつけられていないミントキャンディがいくつか転がっている。
周辺にしみついた鼠の尿のあとからは、つんとしたミントの香料の匂いが漂っていた…。

自分たちが考えていたようなレベルの話ではなかった。
あの鼠は、小悪党を懐かしんでいる。
月日が経った今でも、こうして思い出のミントキャンディをたくわえ、
齧っては小悪党を思い出し、その死を悼んでいるのだ…

一見美談だが、それが自分たちの理解を超えた奇跡、いうなれば異形化の結果であると
理解した看守たちの肌が粟立つような感覚が共感できて怖かったし
もっと鼠が擬人化されて書かれる童話とかなら普通にありそうな「いい話」だったことも
もやっとした後味が残った。

 

グリーン・マイル
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