ホーム » 小説 » 小説/た行 » 藤十郎の恋(菊池寛)

886 名前:本当にあった怖い名無し :2011/10/07(金) 23:37:33.80
菊池寛『藤十郎の恋』

三が津総芸頭とたたえられる美男の狂言師・坂田藤十郎は
万太夫座の人気を賭けた新作で、人妻に言い寄る大役を与えられ思案していた。
この時代の不倫は、あかるみになれば磔の刑に処せられる命を賭けた恐ろしい恋。
周囲は、藤十郎ならば必ず見事に演じきるだろうと言うが
さすがの色男・藤十郎にも人妻に言い寄った経験は無い。
思い立って、幼なじみの人妻お梶に言い寄る藤十郎。
貞淑なお梶は気付かぬふりでかわそうとするが、藤十郎が必死で食い下がると
ふいに真剣な顔になり「今おっしゃったことは本心かいな」と問いかける。
震える膝を抑えつけて、うなずく藤十郎。
お梶が覚悟を決めて行燈の火を吹き消すのと同時に、藤十郎は彼女の前から逃げ出す。

お梶を利用した役作りによって、狂言は見事成功するが
偽りの恋を仕掛けられたと知ったお梶は万太夫座の楽屋で自殺する。
こんなことがバレてはせっかくの狂言の評判に傷が付く、他言は無用に、と言い合う周囲に
藤十郎は「なんの心配があることか。藤十郎の芸の人気が女子1人などの
命などで傷付けられてよいものか」と言い切り、舞台へ上がっていくのだった。

 

恩讐の彼方に・忠直卿行状記 他八篇 (岩波文庫)
恩讐の彼方に・忠直卿行状記 他八篇
(岩波文庫)
菊池寛 (ちくま日本文学 27)
菊池寛 (ちくま日本文学 27)


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...