憑かれたな(大槻ケンヂ)

65 名前:憑かれたな(1/3)  投稿日:2005/06/24(金) 01:37:29
「憑かれたな」
短編集の一編。面白いけど後味ワロス。

シングルマザー節子、そして娘の博子

博子が"何か"にとり憑かれ、変貌していく

挙句の果てに、顔は老人のように醜くなり髪まで抜け、
ギャハハハハハハハハハハハハハと狂ったように笑い、イカれたことを叫ぶようにまでなる博子

節子は藁をもすがる思いで、
自称:オール・ジャンル・エクソシストの滝田一郎という男を呼ぶ

滝田「私は芝居で祓います」
節子「( Д ) ゚ ゚ハァ?」

滝田曰く、
「憑き物というのは、思い込みの一種です。
私は、"悪霊祓い師が悪霊を祓う芝居"をするのです。
そうすれば"憑き物の思い込み"も消えるでしょう」

博子に向かい、悪霊払いの演技をし始める滝田。
そんな中、博子が突然叫んだ。
「暗い暗い闇の中、私をこんなところに置き去りに!
“一条の光も無い!"」
それを聞いて、青ざめる滝田

続く


66 名前:憑かれたな(2/3)  投稿日:2005/06/24(金) 01:38:25
滝田は昔話を始めた。
滝田は以前は役者をしていたのだが、公演中に一人の女性を殺してしまったのだという。
過ってだが……"一条の光も無い"奈落に突き落として。
それから罪を償う為に、今の仕事を始めたのだという。

滝田「私の心を読んだ……。博子さんには本当に何かが憑いているのでしょう……」

沈黙……そのときふと、節子はあることを思い出した。
節子「違います!あれは私と博子の思い出です!」

10年前、節子は暴力を振るう夫と暮らしていた。
夫の暴力を心配し、ある日節子は幼い博子を押入れに隠れさせたのだ。
“一条の光も無い"押入れに。

気をとりなおし、悪霊祓いの演技を再開する滝田。しかし、効果なし……。

滝田は、映画のエクソシストからヒントを得て、
「博子にとり憑いた悪霊が、節子に乗り移った演技をする」という案を出した。

素人ながらも演技をする節子、そして……博子は元に戻った。
その後行方をくらます滝田。

続く


67 名前:憑かれたな(3/3)  投稿日:2005/06/24(金) 01:39:57
これからまた平穏に暮らせる、安心した節子。
しかし、何かが気に掛かった。

……節子は思い出してしまった。
幼い博子を押入れに隠れさせたあの日、節子は博子に"懐中電灯"を持たせていたのだ。
そう、"一条の光はあった"のだ。

つまり……あのとき本当に、博子は滝田の心を読んだ?

節子「まさか……まさかね……」

節子は自分を安心させるため、フフフと笑ってみた。
するともう少し笑ってみたくなって……アハハハと節子は笑った。
ギャハハハハハハハハハハハハハと狂ったように笑ってみたくなって……。
笑いたくて笑いたくて仕方なかった。

「憑かれたな」と、節子は思った。

173 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/06/25(土) 17:54:38
>>65-67
遅レスですが、どっかで読んだ事あるよーで
なかなか思い出せなかったんだけど、
大槻ケンヂの書いた短篇集だっけ?
「ぐるぐる使い」だか「くるくる使い」だか。
あらすじにまとめてもらって、初めて
こんなエキセントリックな作品だったのか、と思った。

177 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/06/25(土) 18:15:04
>>173
くるぐる使いだよね?確か。
あの短編集めちゃくちゃ好きです。
特に表題作。

183 名前:177 投稿日:2005/06/25(土) 19:50:04
まず、主人公は元くるぐる使い。
くるぐるというのは狂った女の子のことでくるぐる使いは
その「くるぐる」を使って預言者のようなことをさせていた。
主人公はくるぐる使いの弟子をしていたが、
ある日自分のくるぐるを買ってくるぐる使いになる為に
金を持ち逃げして独り立ちをした。
そして、美那という少女に出会う。
美那は予言の能力はあるがくるぐるで(狂って)はなかった。
母親に美那を売ってくれと持ちかけると
くるぐるなら格安、くるぐるでなかったら高く買え
と。
主人公は美那にコックリさんをやろうと持ちかける
美那は東京に行った友達がどうしているか尋ねるがコックリさんは
トモダチハクルッテシンダ
と(主人公が動かしているのだが)
何度もコックリさんは友達の悲痛な叫びを繰り返す。
そのうち美那は本物のくるぐるになってしまった。

184 名前:177続き 投稿日:2005/06/25(土) 19:50:35
主人公は美那を買い、くるぐる使いに。
時は経ち、美那の予言のキレがだんだん悪くなる。
主人公は美那が恋をしたと勘繰り、美那を問い詰める。
(くるぐるは処女でなければいけないらしい。)
相手をサーカスの団員の一人と決めつけ団員も問い詰める。
しかし団員は美那をボロクソにこけおろし、大笑い。
激昂した主人公、気が付くとサーカスは炎上していた。
団員と美那は中で死んでいた。
主人公が火をつけたらしい。
美那の親に報告に行くと彼女は主人公を憐れむような眼差しで見つめ…

美那が愛していたのは主人公だった、そして主人公が愛していたのも…

と、いう。
なんか自分が書くと面白そうじゃないな…orz
本物は面白いんだ…オーケンの名誉の為に言っとくよ。
長文スマソ。


186 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/06/25(土) 20:15:58
>>183-184
乙! 面白かったー
商売のために狂わされる美那も、
自分が把握できない主人公も哀れだ。
丸尾末広あたりにマンガ化して欲しいな。

 

くるぐる使い (角川文庫)
くるぐる使い (角川文庫)