エドのガスステーション(カネコアツシ)
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888 名前:1/2 :2012/02/27(月) 22:09:01.00
- カネコアツシの短編集「B・Q」から「エドのガスステーション」
1966年のアリゾナ。ハルは父親の遺したガソリンスタンド「エドのガスステーション」を一人で切り盛りしている。
半年前に父親が亡くなり母親はハルを産むとすぐ出て行ったのでハルは高校を辞めて店を続けるしか無かったのだった。
給油に来た高校の時の同級生マシューとボニーを見送り、強盗を父親のショットガンで追い払い
店番をしていたハルはいつしか眠り込んでしまう。エンジン音で目を覚ましたハルが顔を上げると目の前には二人の宇宙人が立っていた。
パニックを起こすハルに宇宙人はテレパシーで語りかける。
ガスステーションの150km先にある核実験場の核実験の衝撃で時空に歪みが出来て自分達はここに飛ばされて来たと。
混乱しているハルをよそに宇宙人はあたりを調べ始め、ガソリンに目を留める。
ガソリンの味見をした宇宙人は顔色を変えて「このガソリンをありったけくれ」と言い出す。
「いや、タダとは言わねぇよ。俺らの所の燃料と交換しようぜ」
宇宙人はハルに小さな袋を渡し、あるだけのガソリンを積んで消えた。一方その頃、ハルに誕生日のケーキを焼いたボニーは車でエドのガスステーションに向かう。
しかし一本道の途中にあるはずのエドのガスステーションには何故か辿りつけなかった。宇宙人が去った後我に返ったハルは宇宙人に渡された小袋を開けてみる。
中に入っていたのは大粒のダイヤ。
大喜びのハルはダイヤを見せてボニーにプロポーズしようとバイクでボニーの家に向かう。ボニーの家に向かったはずが何故か道の先にはエドのガスステーション。
訝しがるハルの目の前には椅子に座って眠りこける年を取ったハルの姿があった。
「エドのガスステーション」と書いてあった看板は「ハルのガスステーション」に変わっている。
ハルの後ろにはダイヤを持って眠る赤ん坊とコーヒーを持って微笑むボニー。
「帰ろう。店番しなくちゃ…」
エドのガスステーションに戻り店番を続けるハル。
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889 名前:2/2 :2012/02/27(月) 22:10:45.70
- 家に帰ったボニーはハルに電話をかけるが何故か通じない。
ボニーの母は明日自分が連れてってあげるから今日はもう寝なさいとボニーに声をかける。朝になり目を覚ましたハルは宇宙人が自分を取り囲んでいるのに気付く。
ハルは宇宙人に拘束され銃を突きつけられていた。
ハルが宇宙人に売ったガソリンは宇宙人の星では依存性の高い有害なドラッグだったのだ。
「だって俺そんな事知らないし…」
慌てるハルに宇宙人は「報酬を受け取っただろう?取引として成立するぞ。
我々の刑法に則り君の存在を没収する!過去にも未来にも君は存在しなくなる!」場面は変わり車を運転するボニーの母親と助手席のボニー。
「あたし…どこに向かって運転してたんだっけ?」
「何言ってんのよママ。マシューにケーキを渡しに行くんじゃないの」
車はエドのガスステーションの前を通りかかる。
「そういえばあのガソリンスタンド…エドが死んでからすっかり廃墟になっちゃったねぇ」
「あと継ぐ人誰も居なかったの?」
「エドに息子でも居たら継いでたでしょうけどねェ…」
「あ 知ってる!エドおじさん精子が無かったんでしょ?」
「んまっ!子供がマセたこと言うんじゃありません!」ハル何も悪くないのに…ボニーとも両想いだったのに…と後味悪かった